<鉄道ファン誌連動 特別企画>DMVに未来の鉄道を感じて

access_time
2022年3月18日掲載
DMVに未来の鉄道を感じて

トンネル内を行く.車内信号は青.速度は48km/h.

■DMVの車内信号
モードチェンジが終わるとDMVは走り出した.レール上を走るのは約10km区間で,線路の上をマイクロバスが走るのは愉快だ.
 阿佐東線のレールは50kgレールと高規格であるが,走行音に耳を傾けると,貨車のようなジョイント音が聞こえておもしろい.「タタン,タタン」と,今ではなかなか聞くことができない2軸貨車のような音色を奏でる.なお,DMVの最高速度は,乗り心地を優先して60km/hまでとしている.
 海部川を渡ると,かつての気動車がホームに保存されている海部駅に到着.気動車時代のホームは背が高いので,新設された路面電車のような低いホームが使用される.海部駅から宍喰駅までは,山の中を走るのでトンネルが多いが,進行方向左手には海の景色が見られる.線路区間で一番の見どころだろう.
 右手に宍喰の車庫と保存されている気動車を見ながらトンネルに入るが,その手前で車内信号が赤に変わった.DMVの信号保安設備は車内信号で,ハンドルの上に設置されている.車内信号のランプは4つで,左から,青→黄→赤(ランプ内に○印)→赤(ランプ内に×印)の順に並んでいる.どうやらこの表示は,地上信号と同様の意味だと解釈できる.
 青はその閉そく区間が「進行」.黄色は次の閉そくが「注意」で,閉そくの終端が黄色を意味する.赤(○)は次の閉そくの信号の位置が「停止」,つまり黄色で次の閉そくに入ると赤になり,閉そくの先端が「停止」ということになる.ただし,赤(×)はすぐに「停車」だ.
 閉そく区間は10ヵ所あり,線路区間に6ヵ所,各信号所に2ヵ所,始終端部分に2ヵ所となっており,線路区間には閉そくを表す1〜6の数字が線路脇に見られる.

DMVに未来の鉄道を感じて

海の駅とろむ発着便は美しい海岸線沿いに国道55号線を行く.むろと廃校水族館—室戸世界ジオパークセンター

■道路区間は絶景の連続
甲浦駅から1kmほどで,海の駅 東洋町だ.海の駅 東洋町 から平日便の終点である道の駅 宍喰温泉間約3kmの区間では,進行方向右側で美しい海の景色が楽しめる.
 海の駅 東洋町の停留所にはレストランや土産物店があり,目の前に美しい海が広がっている.土日祝日に1往復される室戸便では,東洋町から先,終点の海の駅 とろむまでの約38kmを走り,鮎の産地で知られる野根川付近からは,車窓左側に風光明媚な南国の海を眺められる.

DMVに未来の鉄道を感じて

船が係留された入江の光景.海部—宍喰

[3]DMVは未来の乗り物となるのか
■現在の運行状況と今後の予定や未来構想など
現在のDMVの運行状況は,平日便は上り下りとも1日13本・臨時を入れると15本で,土日祝日便は上り下りとも1日12本,臨時を入れて15本(室戸便が1往復).朝から夕方までの運行で,観光をメインとしたダイヤになっている.
 現在は予約制だが,今後は予約なしでフリーで来ても乗降できるように,シフトしていく予定とのことだ.昨今はコロナ禍で,公共交通や観光も大打撃を受けている.そんな中,DMVは鉄道線時代の平均乗客数に比べて,約2倍の乗客数を記録していて,出だしは好調だ.今後は,乗客数を現在の10倍になるように推し進めているとのことで,「未来の乗り物」として期待したい.また,将来の計画として,奈半利まで延長や,土佐くろしお鉄道への乗り入れはありえるのか?など,気になることも多い.DMVの構造上,独自の運転保安システムであるがゆえに,乗り入れは非常に難しいが,奈半利までの延長はあり得るかもしれない.
 営業運転がスタートした今,これから先がDMVの真価が問われる時期となる.日本初のDMVがその本領を発揮して「未来の乗り物」として認められるのか,とても楽しみである.

文:渡部史絵,写真:結解 学
取材協力:阿佐海岸鉄道

DMVについては,阿佐海岸鉄道WEBサイトをご覧ください