<鉄道ファン誌連動 特別企画>DMVに未来の鉄道を感じて

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2022年3月18日掲載

DMVに未来の鉄道を感じて

鉄輪を出して,頭をあげて鉄路を走る姿はユニーク.阿波海南信号所

■DMV93形気動車
DMVは,マイクロバス(トヨタ・コースター)をベースに改造している.道路上を走る際は,車体前後に搭載されている鉄車輪を,フロントのボンネットとリアのトランクルームに収納してゴムタイヤで走行.線路走行時には,モードインターチェンジ上で車体から鉄車輪を降下させる.この鉄車輪が線路上のガイド役となり,前輪のゴムタイヤを浮かし,後ろの内側ゴムタイヤが駆動輪として,線路の上を軽やかに走ることができるのだ.ちなみに駆動方式はFR(フロントエンジン・リア駆動)である.
 乗客用の座席は18席あり,立ち席も含めれば21名が乗車可能である.通路の途中にはポールがあり,降車ボタンもある.普段乗車しているマイクロバスとまったく変わらない.1人掛シート4列,2人掛シートが5列,最後尾4人掛シートの構成である.メジャーを持参して座席のシートピッチなどを計測したところ,シート間足元のピッチは23cm,一人分の嵩面の高さ80cm,幅43cmであった.
 現在,3両が導入されており,1号車のDMV931が青を基調とした「未来への波乗り」,2号車のDMV932が緑を基調とした「すだちの風」,3号車のDMV933が赤を基調とした「阿佐海岸維新」のニックネームがある.

■鉄道車両の検査とバスの検査について

線路設備も残る宍喰基地の検修庫.

■鉄道車両の検査とバスの検査について
鉄道検査として,①3日周期の列車検査,②3ヵ月周期の状態・機能検査,③4年周期の重要部検査,④8年周期の全般検査がある.また,バス検査として,①日常点検,②3ヵ月点検,③1年点検(車検)が法令によって定められている.DMVは鉄道とバスのどちらの検査にも当てはまる日本初の車両であり,現在は日常点検を毎日,3ヵ月点検を2週間周期で実施.状態・機能検査については検査項目を増やして3ヵ月周期で実施している.バス検査の1年点検と同じ周期で,通常4年ごとに実施する鉄道モード走行装置を構成する部品の分解検査および探傷検査や,シャシー枠および車輪アーム,車軸の磁粉探傷検査や連結器の探傷検査も実施することになっている.また,全般検査については未定だが,8年以内の周期で実施される予定だ.
 日常の点検は宍喰(ししくい)の車庫で行なうが,状態・機能検査以降は委託会社で実施される.通常のモードチェンジの検査は,車庫内に設置されている鉄板の上に鉄車輪を下げて検査する.構内には線路が残っているが,DMVは路面での作業のため線路に載せることはない.
 鉄車輪の耐久試験はすでに8000km実施され,その結果を基に検査時期などを策定しており,現状1年で3万kmを走る予定で,1年に4回,探傷検査をする.また,タイヤについては,走行耐久距離から5000km未満で交換を予定しており,スタッドレスタイヤを装着している.

DMVに未来の鉄道を感じて

鉄道→バスへのモードチェンジ風景.前輪がボンネット内に収まっていく.阿波海南信号所

[2]DMVの旅
■モードチェンジで鉄道に変身
DMVは始点の阿波海南文化村から阿波海南駅までの約1kmをバスモードで走行した後,阿波海南駅でバスから鉄道モードへ,モードインターチェンジ上で切り替えが行なわれる.
 鉄の車輪は,前輪はボンネット,後輪はトランクルームに格納されていて,モードチェンジの際は,ガイドウェイ進入時にアナウンスが流れ,DMVの車体下部から鉄の車輪が下がって前輪タイヤを浮かせる.後輪タイヤはレールに接地しており,そのまま駆動輪となるが,脱輪防止のため後ろの鉄車輪も接地する.その一連の動作がわずかな時間で切り替えられる.実際に乗車し,時計で切り替え時間を測ったが,この日は25秒でモードチェンジが終了した.その後,運転士が外に出て,鉄道モードへの切り替えを目視で確認し,車内に戻り,発車までには1分30秒ほどであった.
 この一連の作業は,撮影スポットとして開放されており,車輪の動きを間近で見学できる.ちなみにモードチェンジのガイド部分の線路幅は,通常の鉄道のレール幅である狭軌1067mmではなく,約1071〜1073mmで,4〜6mmのスラックが設定されている.
 DMVは,バスモード運転の際には通常のバスの運転方法で,鉄道モード運転の際にはハンドルを固定し,バスと同じようにアクセルとブレーキを足で操作する.
 運転士は,バスと鉄道の両方を運転するため,「中型自動車第二種免許」と「動力車操縦者免許」の二つの資格を取得しており,気動車時代からの運転士が4名,新人運転士が3名の合計7名の運転士が在籍している.なお,指令員と運転士を兼務しているため,専属指令員1名を加え,実際は合計8名の体制になっている.

DMVについては,阿佐海岸鉄道WEBサイトをご覧ください