鉄道ファン2025年10月号(通巻774号)
『鉄道ファン』2025年10月号
2025年8月21日発売
定価1300円(税込)

鉄道座席予約システム「MARS-1」が「IEEE Milestone」に選定

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鉄道座席予約システム「MARS-1」が「IEEE Milestone」に選定

▲「MARS-1」の中央処理装置(写真上)と制御盤(写真下)

公益財団法人 鉄道総合技術研究所・鉄道情報システム・日立製作所は,鉄道座席予約システム「MARS-1(マルスワン)」が,「IEEE Milestone」に選定されたと発表した.

 「IEEE Milestone」は,米国に本部をおく電気・電子分野の世界最大の専門家組織である「IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers/アイ・トリプル・イー)」が,社会や産業の発展に多大な貢献をした歴史的業績を表彰するもの.
 鉄道座席予約システム「MARS(マルス)」は,国鉄の鉄道技術研究所(現公益財団法人 鉄道総合技術研究所)の穂坂衛博士が発案した.その試作機「MARS-1」は鉄道技術研究所の論理設計にもとづき,日立製作所で回路設計・製作され,1959(昭和34)年7月に完成した.国鉄の分割民営化により「MARS」は鉄道情報システムに運営が引き継がれ,その後も改良を重ねながら60年以上運用されており,現在もJRグループの乗車券類の予約管理・発行を行なうオンラインシステムとして活用されている.

鉄道座席予約システム「MARS-1」が「IEEE Milestone」に選定

▲開設当時の座席予約窓口の状況
(写真左:MARS-1(東京駅・1960年)/写真右:MARS-101(東京駅・1965年)

 「IEEE」は,電気・電子をはじめとする技術領域における人類社会の有益な技術革新に貢献する世界最大の専門家組織で,2025(令和7)年現在,世界190ヵ国以上に48万人を超える会員を擁している.会員の半数以上は米国外に在籍しており,日本国内には1万4千人以上が在籍している.
 「IEEE Milestone」は,電気・電子をはじめとする技術領域において達成された画期的なイノベーションの中で,開発から25年以上経過し,社会や産業の発展に多大な貢献をした歴史的業績を表彰する制度として「IEEE」の創立100周年を翌年に控えた1983(昭和58)年に創設された.その狙いは,優れた技術成果に光をあてるとともに,それを生み出した技術者に対する社会一般の理解と評価を高めることにある.
 日本の「IEEE Milestone」としては,八木・宇田アンテナ(1924年),東海道新幹線(1964年),野辺山45m電波望遠鏡(1982年)など,1995(平成7)年から2025(令和7)年6月までに,58件が認定されている.

写真:日立製作所提供

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