
写真:EF210形300番代 松本洋一撮影 2020-2-20 (取材協力:JR貨物)
JR貨物は,投資額335億円とする,2025(令和7)年の事業計画を発表した.
鉄道施設の整備に関する計画では,既存アセットを最大限活用しつつ,安全基盤の強化・安定輸送を追求した脱線事故対策などのハード対策を完遂し,必要な鉄道施設・機器の整備・更新を行なう.鉄道事業の基盤強化として,車両故障による輸送障害を未然に防止するため老朽車両の取替を計画的に行い,東海道本線・山陽本線の主力機であるEF210形300番代の導入を継続的に実施する.また,次世代コンテナ車の開発に向けて,必要な技術開発と検証を進める.
輸送設備の維持更新として,まくらぎの鉄まくらぎ化や,土木設備の更新,運転保安・電車線・電力設備・連動装置の更新,建物耐震改修,リフォームを実施する.保安・防災・安定輸送対策として,偏積防止対策や輸送障害への対応強化,大形コンテナ取扱量拡大に向けた駅設備改良,仙台貨物ターミナル駅・沼津駅の移転工事と新技術の導入を行なう.

▲鉄道輸送用31ftコンテナ(左:汎用,右:定温)
貨物輸送量拡大に向けて,データ分析を踏まえた戦略的営業活動を展開する.利用状況を踏まえた機動的な輸送力の配置や,積載率を踏まえた弾力的な運賃施策の提案などを進める.積載率向上のための取組として,IT-FRENSに搭載した「キャンセル待ち機能」活用による輸送力の有効活用や,輸送枠の「空き状況見える化」を深度化する.具体的な輸送量拡大施策としては,「31ftコンテナ輸送の拡大」,「定温コンテナ輸送の拡大」,「中距離帯輸送の拡充」を中心に取り組む.
収支構造改革の一環として,列車編成通知書の自動発行やトラックドライバー用アプリ(T-DAP)の活用による駅作業の省力化,DF200形やフォークリフトのアイドリングストップ,フォークリフト用のリトレッドタイヤ使用率拡大やフォークリフトメンテナンス作業の一部内製化といった費用削減を進める.

▲共同保有船「扇望丸」全景
災害発生時の対応力を強化するため,利用しているトラックや船舶などの輸送モードを,輸送障害時にも代替輸送手段として活用する.輸送ルートを複数持つことで,迅速に必要な輸送力を確保できる体制を整える.
代行体制構築の迅速化に向けた「フェーズフリー」の取組として,トラック代行については,グループ会社と連携したスキーム構築を図り,首都圏における列車輸送とトラック輸送の併用検討を深度化する.船舶代行については,共同保有船「扇望丸」利用時の体制整備迅速化と既設内航船の通年利用拡大を検討する.鉄道によるう回ルートの設定が困難である山陽本線の不通時を想定し,トラックや船舶での代行輸送と鉄道輸送の結節点として新南陽駅の拠点化を進める.

写真:JR貨物EH500形 編集部撮影 JR貨物大宮車両所にて(取材協力:JR貨物)
他線区では,災害時のう回列車運転に備えた機関車運用の柔軟性を確保するため,仙台総合鉄道部配置のすべてのEH500形に日本海縦貫線での運行を可能とする改造を2025(令和7)年度も継続して順次実施する.あわせて,吹田機関区の北陸本線乗入れをはじめとした運転士の乗務線区拡大などにより,災害時をはじめとする輸送障害への対策を強化する.

▲開発中のスワップボディコンテナのイメージ
技術革新の加速化や労働・雇用環境などの社会情勢の変化に対応するため,新たな技術の研究開発,活用を引き続き積極的に進める.「コンテナハンドリングマネジメントシステム(CHMS)」の開発や,コンテナ積付検査の省力化を目的としたAIによる画像検査の実証試験,入換機関車の遠隔操作化に向けた検討を優先的に進める.
あわせて,新幹線による貨物輸送も視野に入れたトラックとコンテナ間の積替自動化や,自動物流道路・港湾・空港といった物流インフラとの連携の検討を進めるともに,出資する株式会社T2と共同で自動運転トラックと貨物鉄道の双方の輸送に対応可能な「スワップボディコンテナ」を用いた輸送の実証実験を行なう.
企業間連携による水素利活用調査に参画し,鉄道による水素サプライチェーンの構築にあたっては,専用貨車や専用コンテナを開発する上での技術的課題や,輸送時の法的課題などを整理するとともに,貨物駅構内に総合水素ステーションを設置する場合の諸条件などについて引き続き検討する.

▲タイでの「プラットフォーマー事業」検討区間
海外事業については,特に複数の現地企業と協力覚書を締結しているタイとベトナムに重点を置いて活動する.タイでは,その周辺国での鉄道輸送への関心の高まりを背景に,JR貨物が鉄道輸送者と顧客の仲介役となって鉄道を利用してもらうプラットフォーマー事業を進める.ベトナムでは「低炭素型熱エネルギー供給のためのLNG輸送・高効率ガス消費実証研究」事業に参画し,LNG輸送事業への参画を検討する.このほか,国土交通省や国際協力機構(JICA)調査をはじめ,海外からの研修や視察への対応も引き続き行なう.
詳しくは,JR貨物のページ(2025年度 事業計画/2025年度 事業計画(概要))に掲載されている.
一部画像はJR貨物 2025年度 事業計画(概要)から