鉄道ファン2024年6月号(通巻758号)
『鉄道ファン』2024年6月号
2024年4月19日発売
定価1250円(税込)
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JR東海,2024年度の重点施策を決定

JR東海 315系

写真:JR東海315系  編集部撮影  神領車両区にて  2021-12-3(取材協力:JR東海)

JR東海は,2024(令和6)年度の重点施策を発表した.

 2024(令和6)年度は,生活様式や働き方の変化によりニーズが多様化していることや,労働力人口の減少により,業務のあり方の変革が求められていることなど,環境の大きな変化を踏まえ,ICTなどの最新の技術を活用して効率的な業務執行体制を構築する「業務改革」と新しい発想による「収益の拡大」の2点を柱とした経営体力の再強化に取り組むものとし,設備投資額は連結で6740億円,単体で6300億円を計画している.

JR東海 N700S量産車

写真:JR東海N700S量産車  目黒義浩撮影  小田原—熱海間にて  2020-10-25

 鉄道事業においては,災害対策をはじめとした安全対策を着実に進めるとともに,東海道新幹線では「N700S」を7編成投入し,既存の「N700A」については「N700S」の一部機能を追加する改造工事を進める.
 ホーム上の可動柵については,新幹線全駅への可動柵整備に向けて,調査設計を進めるほか,自動運転システム(GoA2)の導入に向けた開発を進める.車椅子利用者に向けて,車椅子スペースを1編成あたり6席設置した「N700S」の追加投入と,新大阪駅で車両とプラットホームの段差・隙間対策を進める.

JR東海,2024年度の重点施策を決定

▲新形特急車両385系量産先行車のデザインイメージ

 在来線では,通勤形車両315系64両を追加投入する.“しなの”・“ひだ”などの特急列車は,需要にあわせて弾力的に増発や増結を行なうほか,新形特急車両385系量産先行車の新製に向けた詳細設計を進める.
 設備関連では,東海道本線 刈谷駅のホーム拡幅と可動柵の設置などに向けた工事や,武豊線 半田駅と東海道本線 沼津駅付近の連続立体交差化に向けた工事を進める.名古屋駅で東海道本線下り線ホームと中央本線ホームへの可動柵の設置工事を進める.車椅子スペースを拡充した315系の追加投入に加え,駅におけるバリアフリー設備の整備について,国や関係自治体とともに進める.3両以上の編成におけるワンマン運転導入に向け,車側カメラを設置した車両を用いて,乗客の接近などを検知する画像認識技術活用の検討を進める.
 技術開発などについては,地震や近年激甚化傾向にある豪雨などの各種自然災害に対して,安全性を最優先に安定性も高めるための技術開発のほか,車内通信環境の整備など,サービスの充実に資する技術開発を進める.
 状態監視技術などを活用した検査や保守の高度化・省力化,設備の維持更新におけるコストダウンなどによる「業務改革」に向けて,社内横断的に課題解決に取り組む.特に,AIやデータ・画像分析技術などは,業務に最適な形で導入するための準備を進める.グループ会社を含めて,労働力人口の減少などに対応するため,ロボット制御などの先端技術の活用を進める.

JR東海 L0系改良形試験車

写真:JR東海L0系改良形試験車  目黒義浩撮影  山梨リニア実験センターにて  2020-10-19 (取材協力:JR東海)

 超電導リニアによる中央新幹線計画については,用地取得や山岳トンネル,都市部トンネル,駅などの土木を中心とした各種工事を進める.このうち,都市部トンネルについては,シールドマシンによる調査掘進を終えて準備が整った工区から,本格的な掘進を進める.また,関東車両基地(仮称)の造成工事や中部総合車両基地(仮称)の建築工事に着手する.南アルプストンネル静岡工区については,国土交通省の有識者会議の水資源に関する報告を踏まえ,引き続き双方向のコミュニケーションを大切にしながら取り組む.
 山梨リニア実験線では,高温超電導磁石の営業線への投入を前提にさらなるコストダウンや安定運用に向けた検証を進める.ICTなどの最新の技術を活用した効率的な運営体制の実現に向けた開発では,AIによる画像やビッグデータの分析システムの改良・実証などを進める.営業車両の仕様策定を進め,設計を深度化する.また,走行試験を着実に行なう中で,高付加価値なサービス追求を行なうとともに,さまざまなかたちで改良形試験車による超電導リニアの体験乗車を実施する.
 高速鉄道システムの海外展開については,米国における高速鉄道プロジェクトや台湾での高速鉄道について,継続的な技術コンサルティングに加え,「N700S」をベースとした新形車両の導入にともなう技術支援を行なう.

JR東海,2024年度の重点施策を決定

▲水素動力車両(燃料電池車,水素エンジン車)

 持続可能な社会の実現に向けた取組みの一環として,模擬走行試験を通じて,水素動力車両(燃料電池車,水素エンジン車)に関する開発を進める.また,蓄電池車やカーボンニュートラル燃料について,調査研究を継続する.
 関連事業については,JR東海グループの駅商業施設で利用できる共通ポイントサービス「TOKAI STATION POINT」について,駅売店などを対象施設に追加するなど利便性の向上を図る.JRセントラルタワーズとJRゲートタワーなどの駅ビル事業では,店舗の品揃え強化やサービス向上に加え,名古屋駅・岐阜駅などの駅商業施設の拡張・リニューアルを行なう.
 詳しくは,JR東海ニュースリリースに掲載されている.

一部画像はJR東海ニュースリリースから

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