JR東海は,点検の効率化を目的として,東海道新幹線の営業車両に搭載可能な「軌道材料モニタリングシステム」を開発したと発表した.
東海道新幹線の安全・安定輸送を確保するうえで,軌道(線路)を健全な状態に維持することは非常に重要であり,現在は923形「ドクターイエロー」による軌道形状の計測のほか,社員が徒歩により現地での点検を実施している.
本システムは,今後の労働力人口減少を見据え,社員による点検の効率化を目的に開発した.形状や材質が異なるさまざまな材料で構成された軌道を,営業車両に搭載したセンサやカメラで高速走行中に取得したデータを用いて点検できる.高さの変化を検知する点群データと軌道材料の状態を詳細に確認できる画像データから,メンテナンスに必要な情報を走行中に自動で抽出し伝送する.
この技術は,JR東海が有する新幹線の軌道計測技術と,倉敷紡績が高速道路などの路面調査で培った技術を組み合わせたもので,これまでの試験で,時速300kmでの走行でも安定して正確に軌道材料の状態を把握できることを確認している.
軌道材料の点検は,社員が全線を徒歩で移動しながら目視や計測器具を用いるため,多くの労力を必要とするが,本システムの活用により,徒歩による現地での点検回数を削減できる.また,得られたデータを,今後整備するミリ波方式列車無線で伝送することで,これまで以上にタイムリーな状態把握が可能となるため,東海道新幹線の安全性をさらに高めることができる.
今後は,システムの長期耐久性など実用化に向けた検証とさらなる精度向上を行ない,ミリ波方式列車無線運用開始後である2027(令和9)年の導入を見込んでいる.
画像はすべてJR東海ニュースリリースから