東京地下鉄(東京メトロ)は,2021(令和3)年度の事業計画を発表した.
2021(令和3)年度の設備投資額の合計は1220億円で,ウィズコロナ・ポストコロナにおいても「選ばれる鉄道会社」を目指すべく設定した「安心な空間」「パーソナライズド」「デジタル」のキーワードにもとづき,鉄道需要の創出,不動産事業の拡大,MaaSの推進など,すべての利用者が安心して利用できる交通機関であり続けるための各種施策を実施する.
駅ホームの安全性向上のために進めているホームドア整備について,日比谷線,東西線,半蔵門線への設置工事を進める.
新形車両については年度末までに,丸ノ内線用2000系を1本,有楽町線・副都心線用17000系を14本(10連2本,8連12本),半蔵門線用18000系を4本導入する.安全性向上のため,脱線検知装置の搭載や車両情報管理装置の次世代化など,新技術を導入する.車内の快適性向上のため,座席幅の拡大,車内フリースペースの増設と車内空調設備の高性能化などを進める.あわせて環境負荷低減のため,永久磁石同期モータの採用などによる省エネルギー化を図る.
輸送サービスの改善として東西線では,南砂町駅の線路・ホーム増設などを実施する.銀座線では,遅延吸収能力の改善など,輸送の安定性向上を図るため,浅草駅構内の折返し線整備を進める.丸ノ内線・日比谷線では,高い遅延回復効果を得ることができるCBTC(無線式列車制御)システムを導入する.南北線では,車両の8両編成化にともなう駅設備などの改修を実施する.
バリアフリー設備関連では,エレベータの設置を進める.これにより1ルート整備率100%実現に向けて取り組むことに加え,病院の最寄り駅などに複数ルートを整備しするなど,乗換ルートを整備する.車いす利用者などが円滑に乗降できるよう,日比谷線の各駅でホームと車両床面との段差の低減・隙間の縮小を実施する.
利便性・快適性の向上として,駅冷房設備の更新や,一般トイレの整備などを実施する.東京都交通局と連携し,東京の地下鉄のサービス一体化を進める.また,東京メトロが所有する全編成・全車両に車両内Wi-Fiを設置を進める.このほか有楽町線では,将来的な労働人口の減少を見据え,安全・安定輸送の確保を前提として,小竹向原—新木場間でのワンマン運転実施に向けた検討を進める.
利用者のニーズをとらえた取組では,旅行者の利用機会創出として,SNSなどでのプロモーション展開や,「Tokyo Subway Ticket」と都内観光施設入場券とのセット発売など,他事業者との連携を強化する.ポイントを活用したお出かけ需要の創出として,ラッシュ時間帯を避けた平日日中の利用がお得になる「デイタイムポイント」を新設する.あわせて,1ヵ月定額制で土日祝日の利用が実質乗り放題となる「休日メトロ放題」の実証実験を実施する.
写真はイメージです.
一部の画像は,東京メトロ「2021年度(第18期)事業計画(説明資料)」から