JR九州と日立製作所は,AIを活用した運転整理業務(運転整理)の自動化共同プロジェクトを立ち上げ,2021(令和3)年4月から実フィールドでの有効性検証に取り組むと発表した.
JR九州は,中期経営計画(2019-2021)において,将来に向けた鉄道事業の挑戦として「運行管理のAI化」を掲げ,運行管理業務におけるノウハウやスキルの継承,自動化によるサービスの向上を実現する施策を検討している.
現在,災害などにより列車の運転状況に乱れが生じた場合には,列車の運休や折返しなど,輸送指令員の手動による列車の運転整理が必要で,運転再開までに多くの時間を要す場合がある.検証では日立が開発した技術に,JR九州のフィールドデータを組み込むとともに,JR九州が保有する豊富な知見・ノウハウなどを活用したAI学習モデルの検証に取り組む.運転整理自動化により,輸送指令員の業務効率化や運転再開までの時間短縮によるサービスの向上を図る.
日立は,鉄道事業におけるさまざまな課題解決に取り組んでおり,そのひとつとしてAIを活用した運転整理の自動化の研究開発を進めてきた.本技術は,これまで日立が長年培ってきた「鉄道運行管理用AI」に,機械学習をハイブリッド的に組み合わせることで,ダイヤが乱れた場合に自動的に運転整理を行なう.
今回の取組では,過去に輸送指令員が行なった運転整理をAIが学習することで,列車ダイヤ乱れ時における熟練者と同等の運転整理の実現や,人手では困難な複合的な要因を踏まえたダイヤ変更案作成の高速化などに関する有効性を検証する.これにより,本技術のさらなる精度向上や輸送指令員の業務の効率化を進める.
特記以外の画像はJR九州・日立製作所共同ニュースリリースから