JR東海は,2020(令和2)年度の重点施策を発表した.
2020(令和2)年度も安全・安定輸送を優先し,東海道新幹線の脱線・逸脱防止対策をはじめとする地震対策,土木構造物の大規模改修工事を実施する.輸送サービスの充実として,「のぞみ12本ダイヤ」を活用し,需要にあわせた弾力的な列車設定に引き続き取り組む.また,7月からは次期新幹線車両「N700S」の営業運転を開始する.なお「N700S」は,2020(令和2)年度に12編成を導入し,2022(令和4)年度までに40編成が導入される予定.
在来線関連では,“しなの”・“ひだ”などの特急列車について,引き続き需要にあわせた増発や増結を行なう.また,新形の通勤形電車315系の新製に向けて設計などの諸準備を進める.集中旅客サービスシステムについては,東海道本線の大府—岡崎間,関西本線の名古屋—桑名間において導入駅を拡大する.
ホーム上の可動柵については,引き続き東海道新幹線の新大阪駅で設置工事を進め,23番線・24番線で使用を開始する.あわせて在来線では,金山駅の東海道本線への設置工事を行ない,上り線の使用を開始する.自由通路新設や駅舎改築の計画を引き続き進め,関西本線桑名駅,蟹江駅で順次供用を開始する.また,刈谷駅については,ホームの拡幅・可動柵の設置などの改良に向けた準備工事を進める.
技術開発などについては,引き続き「N700S」確認試験車による走行試験のほか,ハイブリッド技術の確立に向けて,在来線の次期特急車両HC85系試験走行車による走行試験を実施する.あわせて状態監視技術などを活用した検査や保守の高度化・省力化,および設備の維持更新におけるコストダウンにつながる技術開発や,地震や豪雨などの各種災害に対して,より安全性を高めるための技術開発を行なう.
超電導リニアによる中央新幹線計画については,工期が長期間にわたり難易度が高い,南アルプストンネルや品川駅,名古屋駅,山岳トンネル,都市部非常口,中間駅などについて,引き続きトンネルや非常口の掘削,地中連続壁の構築などの各種工事を進める.また,高架橋工事に着手し,都市部トンネルの掘削に向けてシールドマシンの製作や現地での組立てなどを行なう.
山梨リニア実験線では,改良形試験車を投入したうえで,営業車両の仕様策定に必要なデータ取得のため,走行試験に専念する.また,営業運転に対応した保守体系の確立に向けてこれまでの開発成果の実証などを進めるとともに,さらなる超電導リニア技術のブラッシュアップや営業線の建設・運営・保守のコストダウンへの取組をより一層強化する.
このほか,高速鉄道システムの海外展開についても引き続き推進する.関連事業については,JRセントラルタワーズとJRゲートタワーの一体的な運営をさらに充実させ,JRセントラルタワーズ開業20周年の取組など積極的な営業・宣伝活動などを通じて,収益の拡大を図る.
特記以外の画像はJR東海のニュースリリースから