東芝インフラシステムズは,ドイツ現地法人である東芝鉄道システム欧州社(TRG:Toshiba Railway Europe GmbH)が,ドイツ鉄道(DB:Deutsche Bahn)の鉄道貨物事業を行なう子会社であり欧州最大の鉄道貨物運営会社のDB Cargo AG(以下:DBC)からディーゼル電気ハイブリッド機関車(Diesel-Electric Hybrid Locomotive)50両の設計・製造・供給契約を受注したと発表した.
今回受注したのは,ディーゼル発電機で発電した電力と,バッテリからの電力を使用する駆動システムを搭載した出力750kWのハイブリッド機関車.120kWhのバッテリには東芝インフラシステムズが開発したリチウムイオン二次電池「SCiB™」を,主電動機には定格効率97%の高効率な永久磁石同期電動機(PMSM:Permanent Magnet Synchronous Motor)を採用し,従来のディーゼルエンジンのみを搭載した機関車と比べ,30%以上の排出ガス低減を目指す.さらに,高信頼性・高稼働率・省メンテナンスの実現も同時に目指しており,入換用ヤードや工場構内での運搬,本線での軽負荷運行が可能となっている.製造は,DBCのメンテナンス工場であるロストック工場(ドイツ メクレンブルク=フォアボンメルン州)で行ない,2021(令和3)年から製造に向けた準備を開始する予定.
欧州では,CO2削減に向けてさまざまな環境規制が導入されてきており,入換作業用の機関車にもハイブリッドタイプなどの低公害車の導入の動きが強まっている.東芝インフラシステムズは,JR貨物向けハイブリッド機関車をはじめとして,日本国内の鉄道事業者にリチウムイオン電池を使用したシステムを納入しており,2018(平成30)年8月にリチウムイオン電池「SCiB™」を使用した蓄電池システムで,鉄道車両に要求される欧州規格EN50126(RAMS/Reliability Availability Maintainability and Safety,信頼性,有効性,保守性,安全性の仕様と実証)と,RAMSの安全性(Safety)に関するEN50129の認証をSIL 4(Safety Integrity Level 4/最高水準)として世界で初めて取得している(鉄道ニュース2018年8月31日掲載記事参照).
今後は,欧州をはじめとした海外や日本国内向けに,省エネルギーを実現する環境調和形ハイブリッドシステムの市場投入と,鉄道向け蓄電池システム事業の強化を図るとしている.
写真:ハイブリッド機関車完成イメージ(東芝インフラシステムズ提供)