東京急行電鉄・伊豆急行・首都高速道路・首都高技術では,鉄道施設の保守点検および管理作業の精度向上と効率化を目的として,首都高グループが開発した道路構造物の維持管理システム(インフラドクター)を活用し,鉄道保守新技術の共同開発(以下:鉄道版インフラドクター)を行なうと発表した.道路維持管理システムを鉄道に適用した事例としては,日本初の取組みとなる.
インフラドクターは,レーザスキャンで得られる3次元点群データとGIS(地理情報システム)を連携させることで,異常箇所の早期発見,構造物の3次元図面作成,個別台帳で管理してきた図面や各種の点検・補修データの一元管理ができ,構造物点検の作業や維持補修計画の立案などの効率が大幅に向上するシステムで.鉄道版インフラドクターの共同開発に向けて,2018(平成30)年9月からは,伊豆急行線全線(伊東—伊豆急下田間,45.7km)を対象に,実証実験を実施する.実験では,鉄道台車にレーザスキャナやカメラを搭載した移動計測車両「MMS(モービル マッピングシステム)」を載せ,レール上からのレーザ計測により,レールの形状,トンネルの内面形状,橋梁の上部形状,レール周辺の斜面,プラットフォームの形状などの計測を行なう.なお,2018(平成30)年度中には,東急線内での実証実験も実施する予定.
今回の実証実験を機に,計測・運用方法や精度をさらに向上させ,鉄道の新しい技術として事業化するほか,空港など他分野の技術開発も行なうとしている.
写真:3次元点群データ計測車両(東京急行電鉄のニュースリリースから)