写真:JR東日本E235系 編集部撮影 東京総合車両センターにて 2015-3-28(取材協力:JR東日本)
JR東日本は,安全・安定輸送のさらなる向上と業務変革を目的として,輸送障害発生時の設備点検にAIによる画像解析とドローンを活用した新たな設備点検システムを導入すると発表した.

▲取組内容の概要
従来,鉄道設備に故障が発生した場合は,乗務員などからの報告を受けて事象を把握し,係員が事務所で準備を整えた後に現地へ移動して点検を行なっていた.
しかし,このプロセスでは故障箇所の特定に時間を要するだけでなく,現地に到着して目視で確認するまで具体的な復旧方法や再開時間の判断が困難であるという課題があった.とくに都市部では,徒歩による巡回点検が復旧の遅れにつながる要因となっていた.
▲AIを活用したパンタグラフ監視カメラの画像解析
故障の早期検知を実現するため,2026(令和8)年度から山手線でパンタグラフ監視カメラを用いたAI画像解析を開始する.このシステムは,リアルタイムで撮影された膨大な画像から「物体検出AI」でパンタグラフを抽出し,さらに「損傷検知AI」によって損傷の有無を自動判定するもの.
1列車あたり300枚から400枚以上の画像を解析することで,故障を早期かつリアルタイムに知得することが可能となる.これにより,異常時には即座に列車を抑止し,設備損傷エリアの拡大を防ぐことで,結果として点検・復旧作業時間を削減する.
点検作業の効率化に向けては,2026(令和8)年秋から安全システムを搭載したドローンによる点検を試験的に導入する.故障発生時,指令室などからの遠隔操作により,線路沿線に設置された「ドローンドック」からドローンを離陸させ,迅速に設備点検を開始する仕組みである.鉄道敷地外への飛行を防ぐ安全機能を備えたドローンを都市部の鉄道敷地内で運用するのは日本初の試みとなる.
すでに2026(令和8)年1月下旬には新橋駅構内での飛行試験を実施しており,夜間でも鮮明な映像が取得できることや,安定した通信環境下での飛行が可能であることを確認済みである.
▲山手線におけるAIによる画像解析とドローンを活用した輸送障害の早期復旧
これらの技術導入によるシミュレーションでは,復旧に約7時間を要していた事象において,約2時間の短縮が期待できる結果が得られ,約30%程度の復旧時間削減を見込んでいる.
JR東日本は,山手線での運用開始後,中央線の東京駅から新宿駅間といった在来線の他区間や,新幹線への展開も順次検討していくとしている.
一部画像はJR東日本提供













