写真:JR東日本E5系量産車 編集部撮影 新幹線総合車両センターにて 2010-12-14 (取材協力:JR東日本)
JR東日本は,新幹線の地震時における脱線・逸脱リスクを低減する新たな装置「地震対策左右動ダンパ」を開発したと発表した.
JR東日本では,2004(平成16)年の「新潟県中越地震」での新幹線脱線事故を教訓に,2008(平成20)年から(公財)鉄道総合技術研究所の協力を得て,走行中の列車の脱線・逸脱リスクを低減する装置の開発を進めてきた.
装置は,試験車両E956形「ALFA-X」や既存車両での検証を経て,2023(令和5)年に公表された「福島県沖地震に関する対策の方向性」にもとづき開発が完了したもので,新幹線における技術では日本で初となる.
▲試験時のようす(画像提供:(公財)鉄道総合技術研究所)
従来の左右動ダンパは,おもに乗り心地の向上を目的とした装置であり,地震時の大きな振動に対しては振動を吸収しきれないという課題があった.地震動により車体が大きく左右に揺らされると,車輪が持ち上がり,最終的に脱線へとつながる恐れがある.
新たに導入される「地震対策左右動ダンパ」は,地震時の大きな振動に対しても効果を発揮できるよう,従来形よりも大きな力を吸収できる構造となっている.これにより,地震動が車体に伝わる過程で振動を低減させ,車輪の浮き上がりを抑制することで脱線・逸脱のリスクを低減させる.中越地震相当の地震動を用いた検証では,脱線確率を最大で約5割低減できることが確認された.
通常時は従来のダンパと同等の機能を果たし,新幹線の乗り心地を損なうことはない.また,取付時に台車や車両の構造を大幅に変更する必要がない点も大きな特徴である.
本装置は,2027(令和9)年秋から順次導入を開始し,2032(令和14)年度にかけて順次取替えを進める.対象車両はE5系・E6系・E7系・E8系で,E5系・E6系・E8系については2031(令和13)年度,E7系については2032(令和14)年度までの導入完了を予定している.
総工事費は約100億円を見込んでおり,これには車両の改造費用やメンテナンス設備の整備費用などが含まれる.JR東日本は,過去の震災から得た知見をもとに,「列車の線路からの逸脱防止対策」をさらに強化していくとしている.
一部画像はJR東日本提供













