写真:西日本鉄道3000形 松本洋一撮影 筑紫車庫にて 2006-3-23(取材協力:西日本鉄道)
西日本鉄道は,2025(令和7)年12月24日(水)に国土交通大臣から鉄道旅客運賃の上限変更を認可されたことを受けて,2026(令和8)年4月1日(水)に運賃改定を実施すると発表した.消費税率の変更にともなうものを除けば,1997(平成9)年以来,約30年ぶりの本格的な運賃引き上げとなる.
今回の改定では,定期外(普通旅客)の改定率は11.1%,通勤定期は15.6%,通学定期は9.0%となり,全体の平均増収率を10.7%と見込んでいる.
初乗り運賃は現行の170円から180円へ引き上げられる.普通旅客運賃は距離に応じて改定され,10〜13km区間は360円(現行320円)に,最長区間の72〜75kmは1140円(現行1050円)となる.なお,2023(令和5)年3月から導入されていた「鉄道駅バリアフリー料金」の加算は,今回の運賃改定にあわせて廃止される.
同社の輸送人員は,少子高齢化の進展やマイカーへの移行にともない,1992(平成4)年度をピークに減少傾向が続いており,2024(令和6)年度にはピーク時の約7割まで減少している.
これまで,久留米以南のワンマン化や駅業務の子会社委託,駅集中管理方式の導入,さらには不採算路線の廃止といった徹底した経営合理化とコスト削減に取り組んできたが,現行の運賃体系では将来にわたる安定的な運営と公共交通としての使命を果たすことが困難であると判断した.
写真:西日本鉄道9000形 松本洋一撮影 筑紫工場にて 2016-11-9(取材協力:西日本鉄道)
西鉄では2026(令和8)年度から2028(令和10)年度にかけて,総額292億円におよぶ設備投資を計画している.このうち211億円を安全・安定輸送の確保に充て,導入から50年以上が経過したATSシステムの更新や,竣工から100年を超える春日原変電所の建て替え,激甚化する大雨災害への対策としての法面強化などを最優先で実施する.
サービス向上に向けた投資として78億円を計上し,天神大牟田線への9000形の継続導入や,貝塚線における車両の置き換え(7050形への更新)を進める方針である.これにより,2026(令和8)年春のダイヤ改正では貝塚線の朝ラッシュ時の輸送力増強と混雑緩和を図る.
写真:西日本鉄道600形 松本洋一撮影 香椎花園前—唐の原間にて 2014-7-14
西鉄福岡(天神)駅では,2025(令和7)年度末までに全ホームへのホームドア整備を完了させるほか,老朽化した高宮駅や井尻駅の改修・改良も進めていく.
人財確保の観点からは,駅や乗務所の休憩所・浴室といった従業員用施設の更新や空調の改善を行ない,労務環境の向上を目指す.昨今の物価高騰や電気料金の値上げ,カーボンニュートラル実現に向けた対応など,運営コストがこれまで以上に増加する見込みであることも改定の背景にある.
詳しくは,西日本鉄道ニュースリリースに掲載されている.新運賃の詳細については,2026(令和8)年2月2日(月)から,西日本鉄道公式WEBサイトで区間ごとの運賃検索が可能となる予定である.
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