▲荷物専用新幹線の走行イメージ
JR東日本は,列車荷物輸送サービス「はこビュン」の事業拡大とライフスタイル・トランスフォーメーション(LX)の推進を発表した.その一環として,日本初となる荷物専用新幹線の運行を2026(令和8)年3月23日(月)に開始する.
JR東日本では,より多量の荷物を高頻度で輸送したいというニーズに応えるため,E3系1本(7両)の全号車を荷物専用車両として改造した.
先頭車には代表する輸送品目を大きくラッピングし,中間車の窓には各新幹線エリアで輸送実績のある商材を中心に,地域を代表する産品など合計80種類が描かれている.車内は客席をすべて撤去し,荷物(カゴ台車)をそのまま搭載できるよう,床面のフラット化と鉄板を敷設するとともに滑り止め加工を施している.また,車両センター内での荷物搬送にはAGV(無人搬送車)を導入し,作業効率化を図る.
運行区間は,盛岡新幹線車両センター—東京新幹線車両センター間で,平日に定期運行する予定.運行時にはE5系“やまびこ”と連結して走行することで,最大17.4t(1000箱程度)の積載が可能となる見込み.
運行ダイヤについては,正午前に盛岡新幹線車両センターを発車し,16時ごろに東京新幹線車両センターに到着するダイヤを予定している.荷物の受付は,2026(令和8)年2月9日(月)から開始を予定している.
「はこビュン」は,ほかの事業者との連携を通じて,さらなる産業振興や交流人口増加,地方創生,社会課題の解決を目指す.
JALグループとの連携で,地域から海外までワンストップで輸送する新しい物流サービス「JAL de はこビュン」を商品化する.サービスは,2026(令和8)年1月中旬に輸送を開始する予定で,シンガポール,クアラルンプール,台北,香港を輸送対象エリアとする.新幹線・航空機での輸送と通関手続きをワンストップで行なうことで,地域の優れた地産品の海外輸出拡大による地方創生も目指す.
日本郵政グループとの協業では,2024(令和6)年2月に締結された「社会課題の解決に向けた連携強化」に関する協定にもとづき,持続可能な物流の実現を目指す.その中で,ファーストワンマイルやラストワンマイルの連携を含めた在来線・新幹線を活用した郵便物などの輸送について,2026(令和8)年度の実施に向けて検討している.
2026(令和8)年春に上野駅で開催予定の「つながる産直市」では,「はこビュン」を活用し,鉄道の速達性,高度な輸送品質,広域ネットワークの強みを生かして,「朝どれ」の新鮮な青果や海産物など最旬の品々を上野駅に届ける.これは,地域の豊かな食文化体験の創出を通じて,交流人口の拡大につなげ,地域経済の活性化を目指す.
▲目指す姿と新たなライフスタイル
「はこビュン」は,鉄道の速達性・定時性・環境優位性を活かし,地方創生,社会課題の解決に貢献し,地域の魅力発信やブランド確立,観光産業の発展,農業・水産業・工業の振興,文化交流の促進などの地方創生を進める.また,速達性を活かしたビジネスマッチングにより,在庫管理の効率化や顧客満足度向上を図る.
社会課題への貢献としては,物流業界の「人手不足問題」と「二酸化炭素排出量削減」に取り組む.盛岡—東京間で荷物専用新幹線を利用した場合,トラック輸送と比較して年間34310時間のドライバー拘束時間削減効果が見込まれている.
二酸化炭素排出量削減の面では,同区間での試算で,トラック輸送から新幹線輸送にシフトすることで,年間約593tの二酸化炭素排出量削減(約229世帯分)が可能と試算している.
画像はすべてJR東日本ニュースリリースから












