
写真:JR西日本683系6000番代 編集部撮影 網干総合車両所宮原支所にて 2025-3-7(取材協力:JR西日本)
JR西日本は,特急“まほろば”(安寧・悠久)・観光列車「はなあかり」が,2025(令和7)年度の「グッドデザイン賞」を受賞したと発表した.
特急“まほろば”は大阪と奈良を結ぶ特急で,これまでは臨時特急として運行していたが,新たに定期運行を行なう専用特急車として683系をリニューアルした.
コンセプト検討にあたっては奈良エリアの現地調査と有識者ヒアリング,社内ワークショップなど,「共創型のデザインプロセス」をとり,車両を通した奈良エリアの魅力発信を検討した.
コンセプト・デザインの異なる「安寧」と「悠久」の2編成を設定,奈良の根源的な魅力をメッセージとして発信し,旅の情緒を演出している.

写真:JR西日本683系6000番代車内 編集部撮影 網干総合車両所宮原支所にて 2025-3-7(取材協力:JR西日本)
通勤路線を使って走る観光列車として,既存の特急車両をリユースデザインし,デザインプロセスにおいて奈良の魅力を発見し,鉄道というメディアに載せて発信していくプロジェクトとして高く評価した.
「ヘッドマークや映え写真を意識したプリントレイアウト,車両の色へのこだわりあふれるたたずまいが,プラットフォームにいる鉄道ファンや,国内外の新しい観光客にも響いている」とし,リユースであるため,外装とシート変更が中心であるが,デザインのコンセプトとナラティブの強さによって,車両をまったく新しい価値に生まれ変わらせる事例としても高く評価された.

写真:JR西日本キハ189系7000番代「はなあかり」 松本洋一撮影
観光列車「はなあかり」は,JR西日本の営業エリア全域で運行され,JR西日本グループが掲げる「地域共生」のフラッグシップ的な位置付けを担う存在となっている.「地域の華を列車に集め,お客様と地域の縁を結ぶ列車」として,「みんなで移動時間を創る」「鉄道会社と地域が一緒に未来を創る」機会を創出している.

写真:JR西日本キハ189系7000番代「はなあかり」車内 編集部撮影 京都鉄道博物館にて 2024-8-29(取材協力:JR西日本)
特急が停車しない,駅とその周辺エリアのブランディングをあわせて行ない,鉄道がメディアとして,また地域の動く観光資源または観光大使として機能している点や,「はなあかり」が走る沿線の文化を発見して世の中に伝え,「はなあかり」とともにアップデートしていく,動くメディア・活動体としての鉄道の新しい役割の提案・デザインとして,高く評価された.