
日立製作所のグループ会社である日立レール社は,台湾・新北市政府捷運工程局(NTCG DORTS)の主契約者であるマレーシアの建設・インフラ企業のガムダ社(Gamuda)から,新たな地下鉄路線である「汐東線—基隆線 MRTプロジェクト」において,列車を制御する最先端の鉄道信号システムである「SelTrac™ CBTC」と「SCADA(監視制御・データ収集)ソリューションALVEA™」の契約を受注したと発表した.
この路線は,新北市の汐止駅から台北市の東湖駅,台北市の南港駅から基隆市八堵駅を結ぶプロジェクトで,新北市による大規模なインフラ整備の一環として進められる.プロジェクトは約22kmにわたるもので,駅数16駅,車両14編成,車両基地1ヵ所を含む.
本プロジェクトで導入される「SelTrac™ CBTC」は,列車とインフラ間で無線通信を行なうことで,従来の信号システムよりも効率的かつ安全に都市交通を運行できる,最新の都市形信号システムとなる.最新の通信システム,プライベートクラウドベースの信号,列車制御監視機能などが搭載されており,システム全体の効率性と信頼性が向上する.さらに,各設備の状態を遠隔で常時監視できる技術と高度なデータ分析を組み合わせることで,自動化が一層強化され,設備の予知保全が可能となる.これにより,将来的な保守の効率化と,運行の安定性・信頼性の向上が実現する.
また,モジュール性,拡張性,保守性,クラウド対応性などの利点を持つ「ALVEA™」システムは,エッジからクラウドへのシームレスなデータフローを可能にし,鉄道事業者は統合ポータルや運行センターを通じて遠隔で分析情報にアクセスできるため,柔軟性と即応性が向上する.
本契約は,台北のLRT(Light Rail Transit)プロジェクトや三鶯線MRTプロジェクトにおける「NTCG DORTS」との協力関係を背景とした契約となる.日立レールの高度な信号システムと「SCADAソリューション」の導入により,安全性,効率性,信頼性の高い運行が実現され,乗客の利便性と快適性がさらに向上するとしている.
写真:日立製作所提供