
写真:西武鉄道40000系ロングシート車 編集部撮影 小手指車両基地にて 2020-2-27(取材協力:西武鉄道)
西武鉄道は,2025(令和7)年度の鉄道事業において,総額424億円の設備投資を行なうと発表した.

▲整備・改修が完了した8000系
車両については,旧形車両と比較して省エネルギー化(消費電力60%削減),低騒音化した40000系3本(24両)を増備する.
2024(令和6)年度に小田急電鉄から譲り受けた8000形1本の整備・改修が完了し,8000系として2025(令和7)年5月31日(土)から運行を開始する.2025(令和7)年度は,東急電鉄から9000系3本を譲り受ける予定となっている.
※サステナ車両は,VVVFインバータ制御などの環境負荷の少ない他社からの譲受車両で,西武鉄道の独自呼称.

▲山口線の新形車両のイメージ(© SEIBU Lions/TEZUKA PRODUCTIONS)
2025(令和7)年度から2027(令和9)年度にかけて,山口線(レオライナー)の8500系全3編成を順次,新造車両に更新する.新造車両は,埼玉西武ライオンズをイメージしたデザインへの変更や輸送力強化を図るため,車内設備を変更する.

写真:西武鉄道 10000系5次車 編集部撮影 南入曽車両基地にて 2003-3-10(取材協力:西武鉄道)
このほか,2026(令和8)年度以降に予定している事業として,現在,新宿線で運行している10000系「ニューレッドアロー」をライナー形車両に置き換え,停車駅など運行形態の変更など,サービスを刷新する.2026(令和8)年度中の運行開始を予定しており,柔軟な運行形態や着席機会の拡充など,サービス向上を図る.

▲踏切異常検知システムの新設
踏切の安全性向上を目的に,従来の「線」で検知する方式(光電式)から「面」で検知する方式(2D式)とした,高規格な踏切支障検知装置の新設・更新や特殊信号発光機ATS連動化を進める.踏切内にとり残された人を画像解析により検知し列車に知らせる「踏切異常検知システム」については,引き続き2ヵ所の踏切に新設する.
災害対策では,落石防護柵を西武秩父線 西吾野駅構内と西吾野—正丸間に整備する.高架橋の柱の補強工事については,2025(令和7)年度は44本を対象に実施予定で,2027(令和9)年度末までに終える予定となっている.
車内の防犯対策・安全性向上のため,車内防犯カメラの整備を進める.2025(令和7)年3月末時点で,全車両数に対する設置割合は約85%であり,2025(令和7)年度末までに100%を目指す.また,記録式カメラ設置車両は,2026(令和8)年度末までにリアルタイムに映像を確認できる通信式カメラへの置き換えを進める.

▲久米川駅方面から東村山駅を臨んだ工事状況 (左側が新宿線下り線の高架橋)
新宿線の連続立体交差事業については,中井—野方間連続立体交差事業(地下化)において,引き続き駅部の掘削工事や取付部の掘削工事・躯体構築工事を行進める.
東村山駅付近連続立体交差事業(高架化)では,6月28日(土)深夜に新宿線下り線の高架化切替を行なう.これにより,対象区間にある府中街道などの4ヵ所の踏切において遮断時間の短縮が見込まれるほか,踏切による交通渋滞の緩和が期待されている.今後は,国分寺線・西武園線・新宿線上り線の早期の高架化に向け,工事を進める.
井荻—西武柳沢間の連続立体交差化計画については,事業主体である東京都や地元自治体と協力し,工事着手に向けた準備を進める.野方—井荻間の連続立体交差化計画については,事業主体である東京都や地元自治体と協力し,引き続き,連続立体交差化計画の早期事業化に向けた準備を進める.
このほか,2026(令和8)年度以降に予定している事業として,西武新宿駅からつながる新宿サブナードとメトロプロムナードを結ぶ新しい地下通路の早期実現に向け,具体的な検討と関係者との協議を進める.

▲ホームドア・固定柵の長期的な整備目標
ホームドアなどのバリアフリー設備の整備については,鉄道駅バリアフリー料金制度を活用し,整備を引き続き進める.2025(令和7)年度は東村山(高架化後新宿線下りホーム)・保谷・新所沢の各駅でホームドアの稼働を予定している.
また,2026(令和8)年度から2028(令和10)年度までの稼働目標として,池袋駅(7番,特急ホーム),中村橋・富士見台・新桜台駅・池袋駅(1番ホーム)・東長崎・大泉学園・花小金井・椎名町・下落合・中井・田無の各駅でホームドア整備を予定している.なお,東村山駅の高架化後の新宿線上り・国分寺線・西武園線ホームについては,連続立体交差事業とあわせて順次整備される.

▲TASC整備
今後ホームドア整備駅を拡大するにあたり,定時運転および乗務員負荷軽減の観点から「TASC」の整備を進める.これは,列車が駅に停車する際に自動的にブレーキをかけて定位置に停止させる運転支援システムで,2025(令和7)年度から地上・車上に機器を設置する工事に着手し,2027(令和9)年度の池袋—小手指間,豊島線,西武有楽町線各駅への導入を目指す.

▲自動改札機のイメージ
西武線内のターミナル駅や観光地周辺の21駅では,2024(令和6)年12月からクレジットカードなどのタッチ決済乗車サービスの実証実験を開始し,自動改札機でQR企画乗車券の利用も可能となった.2025(令和7)年度は西武線内の約50駅で,また2026(令和8)年度には西武線内の全駅で,タッチ決済乗車サービスとQR企画乗車券の利用を可能にするため,自動改札機の整備を進める.
詳しくは,西武鉄道のニュースリリースに掲載されている.
一部画像は西武鉄道ニュースリリースから