京王電鉄は,京王線での自動運転設備を活用したワンマン運転の実施に向け,ホームドア整備工事と自動運転設備の整備工事を実施すると発表した.
京王電鉄はこれまで,1日あたりの乗降客数が10万人以上の駅や,国際的なスポーツ大会の会場最寄り駅,ホームが狭くかつ輸送密度の高い井の頭線を優先して整備してきた.今回,より高度な安全,安心を実現させるため,乗客の安全性と列車運行の安定性確保の観点から,京王線全駅へのホームドア整備を決定した.
ホームドアの整備については,バリアフリーの観点から,列車とホームとの間の段差と隙間を縮小する対策も同時に実施する.
また,ホームドア整備によりホーム上の安全性が向上することから,自動運転化の推進に向けて自動運転設備の整備工事に着手することを決定した.これにより,将来予測される生産年齢人口減少や働き方改革がさらに進行した事業環境下においても,鉄道輸送の安全やサービスレベルを確保しながら持続可能な鉄道事業を目指していくとしている.
自動運転については,運転士による出発ボタンの操作のみで自動で列車を加減速させることを想定しており,車両には自動で列車を加減速させるシステム(列車の起動や加速,速度制御・定位置停止の操作を自動的に制御する装置など)や,出発ボタンなどの設備を設置する.
総事業費は831億円(ホームドア工事669億円,自動運転化工事162億円)を想定し,2024(令和6)年度に工事着手し,ホームドア工事については2030年代前半,自動運転化工事については2030年代中ごろの竣工を予定している.
なお,井の頭線におけるホームドア工事と自動運転化工事の実施については,2024(令和6)年2月開催の取締役会において決定しており,総事業費は120億円(ホームドア工事72億円,自動運転化工事48億円)を想定している.工事は2024(令和6)年度に着手し,ホームドア工事については2020年代中ごろ,自動運転化工事については2020年代後半の竣工を予定している.
画像はすべて京王電鉄提供