郵船ロジスティクスとJR貨物は,東京国際空港(羽田空港)に到着した輸入航空貨物の国内配送に鉄道を使用するサービスの提供を,2023(令和5)年10月から開始したと発表した.
リードタイムが短い国際航空貨物の国内輸送は,これまで鉄道を利用するという選択肢は少なく,これまで羽田空港に到着した輸入航空貨物は,トラックに積み替えて輸送していた.また,鉄道輸送は,トラック輸送と比較して料金や輸送時間,鉄道コンテナへの積込み時間や作業人員確保などが課題と考えられ,航空貨物におけるモーダルシフトの実現は困難であった.
サービスは東京国際エアカーゴターミナルの協力のもと,何度もトライアルを重ねながら,羽田空港到着の輸入航空貨物を鉄道コンテナに積み替えて国内配送するスキームを構築した.羽田空港が成田国際空港と比較してJR貨物の駅に近いという地理的優位性を生かし,輸送距離や貨物量などの条件によってはトラックでの輸送と同等の時間,料金での手配を実現している.
サービスのおもなメリットとして,トラックドライバーの減少や高齢化に加え,2024年問題への対応も迫る中,今後は中長距離の輸送でドライバー不足や輸送料金の上昇などが予想されているが,貨物列車1編成の輸送能力は10tトラック約65台分に相当し,大量輸送機関として労働力不足に対応できる.
また貨物列車のCO2排出量は営業用トラックの約1/11,内航海運の約1/2との試算があり,CO2排出による気候変動をはじめとした環境課題の解決に貢献する.羽田空港から東京貨物ターミナル駅は車で20分ほどと近いことや,鉄道の定時性により,安定した輸送サービスの提供が可能となっている.
写真はいずれも郵船ロジスティクス・JR貨物 共同ニュースリリースから