東京都交通局では,浅草線 西馬込駅でのホームドア運用を2023(令和5)年11月18日(土)始発から開始すると発表した.これにより同局が管理する全駅で整備が完了する.
また京成電鉄と共同で整備を進めている押上駅についても2024(令和6)年2月20日(火)に完了を予定しており,これにより,すでに整備済みの三田線・大江戸線・新宿線とあわせて,都営地下鉄全106駅の整備が完了する.
都営地下鉄におけるホームドア整備については,2000(平成12)年度に営業中の路線として全国で初めて,三田線にホームドアを整備した.その後,ホーム上の安全対策としてだけでなく,バリアフリー設備としても需要が高まる中,2013(平成25)年度に大江戸線で整備するなど,ホームドアの整備において,公営交通事業者として先導的な役割を果たしてきた.
新宿線と浅草線については,相互直通運転を行なう各社と調整を行ない,「東京2020オリンピック・パラリンピック大会」の開催までに,新宿線の全駅と浅草線の4駅(新橋—泉岳寺間)で整備を完了した.その後は,2023(令和5)年度までの全駅整備完了を目指し,浅草線のホームドア整備を進めてきた.
三田線・大江戸線・新宿線では,車両側にホームドアを開けるための機器を設置し,編成車両数や車両ドア数,ドアの開閉状況などの情報を無線で通信することにより,ドアの開閉を連動させている.
しかし,浅草線においては,複数の鉄道事業者による相互直通運転を行なっていることから,各社からの乗入れが多く,車両によっては機器の設置が困難であるなどの課題が生じていた.この課題を解決するため,車両側の機器を必要としない,QRコードを用いたホームドア開閉連動技術をデンソーウェーブと共同で開発している(鉄道ニュース2019年5月22日掲載記事参照).
なお,この技術は,ほかの鉄道事業者におけるホームドア整備の一助となるよう,特許をオープンにしている.
整備にあたっては,世界的な半導体不足の影響によりホームドアの製造に最大10ヵ月遅れが出たが,各駅でホーム補強などの準備工事を着実に実施するとともに,設置後の動作確認手順の見直しや複数駅での同時施工,列車を使用したホームドアの搬入などの工夫により工程を大幅に圧縮し,早期の整備完了に努めてきた.
営業中の路線で列車を使用したホームドアの搬入作業は,現在一般的となっているが、東京都交通局では,初めて整備した三田線からこの方法を採用している。
なお,整備後の路線では転落件数が「0」となるなど,ホーム上の安全対策として高い効果を発揮している.
特記以外の画像は東京都交通局提供