小田急電鉄・東急電鉄・東京メトロ・JR東日本は,保線管理システム「RAMos+®」を導入すると発表した.
「RAMos+®」は,線路設備モニタリング装置から取得したデータを有効活用することを目的に,線路を専門とした技術コンサルティング会社である日本線路技術が開発した.国内で初めて複数の鉄道会社が共通で使用でき,開発費のコストダウンやアプリを相互に活用することが可能となる.
装置で得られたデータの処理は,これまで会社ごとの独立したシステムで行なわれていたが,「RAMos+®」を導入することで,鉄道各社が同じプラットフォーム上でデータ処理が可能となる.これにより,各社のアプリなどを共有して使用することが可能となり,開発費の削減やメンテナンスの生産性が向上し,鉄道業界全体におけるメンテナンスの技術の発展が期待されている.
線路設備モニタリング装置は,将来の生産年齢人口の減少を見据えて導入され,営業列車に搭載することで,高頻度に線路状態のデータを取得できる.これにより,線路の悪化傾向を精度よく事前に把握して,最適なタイミングでメンテナンスを行なうCBM(Condition Based Maintenance)を順次進めている.
装置は現在,JR東日本管内の50線区や東京メトロの千代田線において運用されており,今後,小田急電鉄や東急電鉄の各路線,東京メトロにおいても運用エリアを拡大し,さらなるメンテナンスの効率化を図る.
このほか,「RAMos+®」やアプリの運用状況について情報共有し,CBM推進の課題解決に向けて共同で取り組むため,まずは鉄道4社により「線路設備モニタリングコンソーシアム」を形成するとともに,今後,新たに線路設備モニタリング装置を導入する鉄道会社へコンソーシアムへの参加を呼びかける.
アプリ開発においては鉄道会社だけでなく,ほかの分野の企業と協力することで,効率的なメンテナンスを目指す.また,蓄積された膨大なデータを学習データとして活用するなど,AI技術の開発・精度を向上させる.
画像はいずれもJR東日本提供