JR東日本は,鉄道沿線における第5世代移動通信システム(5G)のエリア化の一環として,「インフラシェアリング事業」による5Gエリア化を順次進めると発表した.
5Gは,既存の第4世代移動通信システム(4G/LTE)と比較して,高速・大容量,低遅延,多数同時接続といった特徴があるものの,その特徴を引き出す周波数帯によっては電波伝搬距離の短さや遮蔽物の影響を大きく受けることなどから,きめ細かなアンテナ配置などが必要となる.
5Gは産業・社会のデジタル化を支える基盤技術のひとつであり,JR東日本はインフラシェアリング事業者として駅や駅間など多くの人が利用する鉄道沿線に5Gインフラ設備を整備し,移動通信事業者に提供することで,社会全体のインフラ投資の最適化や社会課題の解決,利便性向上を目指す.
駅間における5Gインフラ整備については,山手線 高輪ゲートウェイ—品川間において,走行中の山手線車内の乗客を対象とした5Gインフラ設備の整備を行ない,移動通信事業者に提供する.2023(令和5)年夏以降,準備が整った移動通信事業者から,順次サービスを開始する予定で,山手線のさらなる価値向上を目指す.あわせて,山手線を中心に5Gインフラ設備の整備拡大についても,今後検討する.
駅構内(ホーム,コンコース)における5Gインフラ整備についても,2023(令和5)年3月末までに東京,秋葉原,上野の各駅など山手線を中心とした計21駅で5Gインフラ設備の整備が完了している.今後も,首都圏主要駅や新幹線駅の一部を対象に5Gエリア化拡大に向けた整備を進める.
5Gについては,これらのインフラ整備のほか,利活用も検討されており,これまでも時速360kmで走行する新幹線試験車両E956形「ALFA-X」での5G通信試験や,建設工事のリモート監督実現に向けた5G活用,東北を体験する東京駅での5Gイベント,ローカル5Gを活用した上越新幹線 新潟駅—新潟新幹線車両センター間での高精細映像リアルタイム伝送などの実証実験に取り組んでおり,今後も5Gを含め最適な技術を組み合わせて,業務変革や各種施策に取り組む.
一部画像はJR東日本提供