JR東日本グループは,2023(令和5)年冬から順次,上野駅・秋葉原駅・新宿駅に駅形ショールーミングスペースを設置すると発表した.
これは,上記3駅の特定場所に大規模なサイネージを設置し,サイネージの提供する魅力ある映像と連動したさまざまなコンテンツが体験できる,駅ならではの「没入」できる空間を創出するもの.リアルな空間において,デジタルと融合した新たな発見・体験・交流の場とすることで,人と人をつなぎ,多様なコミュニケーションを促進することで,駅の価値を向上させる.
また,ビーコンなどのセンサを設置し,情報発信やコンテンツの効果測定を行なうことで,さらなる魅力向上につなげ,「イマーシブなメディア空間」を進化させていく.
上野駅の広小路口駅前広場には,1932(昭和7)年に落成した2代目上野駅舎のファサードをそのままに,立体感のある映像放映も可能な大形曲面サイネージ(約50m²)とイベントスペースを整備する.これにより,さまざまな映像技術などを活用し,体験型メディアを楽しむ一体的な駅前広場に生まれ変わる.開業は2023(令和5)年冬を予定している.
上野駅13番線については,「PLATFORM13」として,列車が始発着する駅特有のホーム形状をそのままに,高架下の重厚で細長い空間を活かしプロジェクターなどによる映像が表現できる約100mの壁面を整備し,利用客に特別な体験を提供する.
あわせて,JR東日本が進める「Yamanote Line Museum」の一環として,鉄道駅を発信拠点とするアートプラットフォームとして活用していく.開業は2024(令和6)年春を予定している.
秋葉原駅では,2024(令和6)年春の開業を目指し,中央改札外に大形サイネージ(約60㎡)と商業空間が一体となった駅型ショールーミングスペース(約150㎡)を設置する.
改札正面上部の大形サイネージと連動した商品の購入・新しいサービスの体験が可能なスペースを整備し,利用客と企業をつなぎ,駅での新たな発見や体験価値を提供する.
新宿駅では,2024(令和6)年春を目処に,2階の南コンコースに「天井ロングサイネージ(長さ約60m)」・「48面柱サイネージ」・「大形3面サイネージ(約55㎡)」の3つの特徴的なサイネージの整備と駅空間の改装を行なう.これにより,イマーシブなメディア空間へと再構築するとともに,地域・沿線の旬な魅力発信にも取り組み,駅での新たな体験価値の創出とともに観光などの移動需要を喚起する.
新たな駅空間の創造については,JR東日本グループの「Beyond Stations構想」にもとづくもので,ヒトの生活における「豊かさ」を起点として,リアルの交流拠点である駅の強みを活かしながら駅空間の配置と機能を変革するとともに,JRE POINT生活圏の拡充を通じ,駅を「交通の拠点」から「暮らしのプラットフォーム」へと転換する.
今回整備される上野駅・秋葉原駅ではエキュートの改装・新規開業を予定し,新宿駅を含めた各駅でリアルとオンラインの融合サービスを拡大し,JR東日本グループだからこそ提供できる「心豊かな生活」の実現を目指す.
また整備されるメディアについては,東京都による「キャップ&トレード制度」などを活用し,CO2排出量を実質ゼロにした「ゼロカーボンメディア」として運用する.
画像はいずれもJR東日本提供