東急電鉄は,これまでに築き上げた経営基盤のさらなる強靭化と安全・安心のさらなる追求など時代に即した社会的価値の持続的提供のため,2023(令和5)年度に約431億円の設備投資を行なうと発表した.
田園都市線では,地下区間のリニューアルに向けて引き続き工事を進める.第1弾となる駒沢大学駅リニューアル工事は,2024(令和6)年度夏に竣工予定で,壁面タイルや床材などの既存材を最大限活かした計画とし,廃棄物削減に取り組むほか,空調設備改修では,コミッショニングの導入や,CBMの推進による効率的な運用を行なう.加えて,旅客トイレのリニューアル,西側へのエレベータ新設によりバリアフリーの一層の拡充を図る.
第2弾となる桜新町駅のリニューアル工事は,2026(令和8)年夏に竣工予定で,「WITH THE CHERRYBLOSSOMS」をコンセプトに,人々の暮らしや商店街の活気に寄り添う桜並木のような空間デザインとする.駒沢大学駅に続き,壁面タイルなどの既存材の活用した計画に加え,空調機を大幅に増強・新設し,駅構内の快適性向上を目指す.
東横線では着席ニーズに応えるため,有料座席指定サービス「Q SEAT」を開始する.また2023(令和5)年3月から開始したワンマン運転については,引き続き安全・安定輸送を継続するために,車内防犯カメラの高機能化などのさらなる設備投資を実施する.
大井町線では老朽化の進む9000系・9020系の更新に向けた車両新造に着手する.また,戸越公園駅付近における連続立体交差化に向けて具体的な調査や設計を進める.これにより大井町線で計6ヵ所の踏切が解消される予定.
列車の安全・安定運行を確保するため,無線通信技術を活用して列車の位置や速度を連続的に把握し,列車間の安全な間隔を確保する「CBTCシステム」について,機器の設計や製作に着手する.「CBTCシステム」は,2028(令和10)年度に田園都市線,2031(令和13)年度に大井町線へ導入を予定している.
土木施設,電気設備の健全性を保つため,東横線の信号装置や,鷺沼変電所・田奈変電所の更新を進めるほか,引き続きトンネルや橋梁などの土木構造物の長寿命化工事も進める.
鉄道利用において,よりスピード感をもって多様な乗車サービスを提供することを目的として,クレジットカードのタッチ決済やQRコードを活用した乗車サービスに関する実証実験を2023(令和5)年夏から開始するなど,時代に即した社会的価値を提供し続けるための新たな取組も実施する.
ホームと車両床面の段差・隙間の縮小工事については引き続き,池上線と東急多摩川線を中心に順次実施する.さらに,転落防止を目的とした工事も順次実施する.池上線 五反田駅では,センサ付固定式ホーム柵からホームドアへ設備更新を実施するにあたり,設置工事に向けた設計を進める.供用開始は2024(令和6)年度末を予定している.
駅設備については,駅構内への旅客トイレの新設工事や複数駅でのリニューアル工事を実施する.
脱炭素・循環形社会の実現に貢献するための取組として,駅構内照明のLED化を進めており,2023(令和5)年度は三軒茶屋駅など5駅に導入する.東急新横浜線も含めた東急線全線における再生可能エネルギー100%での運転を継続するとともに,東急線の一部駅に駅舎補助電源装置を設置し,運転士がブレーキをかける際に発生する余剰回生電力を,駅の照明や空調などに有効活用する仕組みの導入を進める.
木材を活用した駅改良プロジェクト「木になるリニューアル」では,戸越銀座駅,旗の台駅,長原駅に続く新たな駅での実施に向けて引き続き検討する.
※QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です.
一部画像は東急電鉄ニュースリリースから