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東急・日本IBM,「状態保全(CBM)支援システム」を4月下旬から運用開始

東京急行電鉄 2020系

写真:東京急行電鉄2020系  編集部撮影  長津田検車区にて  2018-2-24(取材協力:東京急行電鉄)

東急電鉄と日本アイ・ビー・エムは,テクノロジーを活用した鉄道設備の保守業務の高度化に向け,両社が共同で開発した「状態保全(CBM:Condition Based Maintenance)支援システム」を活用し,鉄道設備の状態モニタリング,リスクスコアの可視化を,2023(令和5)年4月下旬から開始すると発表した.本システムの保守・運用は東急テックソリューションズが行なう.

 このシステムは,遠隔で取得した鉄道設備に関するデータを蓄積・分析することで,設備の故障リスクを可視化する機能を実装したもの.これらの機能を活用することで,これまで行なってきた定期的な点検と比較して,現地検査の見直しによる業務の効率化や,夜間作業の負担軽減,データによる円滑な技術伝承といった効果が期待されている.また,適切な設備更新計画の策定・実行によるコスト抑制や,故障の未然防止による運行品質の維持・向上を目指すとしている.

東急・日本IBM,「状態保全(CBM)支援システム」を4月下旬から運用開始

 「鉄道設備データの状態モニタリング機能」は,鉄道設備のデータをリアルタイムで伝送し,クラウド上で参照することができる.従来は,現地での定期的な点検でのみ設備状況を確認できたが,本システムの運用開始後は,取得したデータを遠隔で確認でき,効率的な検査を実施することが可能となる.また,取得したデータが一定の条件を満たした場合,アラートで知らせて設備故障の兆候を察知することを目指す.
 運用開始時は,転てつ機を対象とし,データの伝送機能は,一部の転てつ機(2023年4月末時点で351台中43台)に搭載されており,今後,更新時期にあわせて段階的に置き換える.
 「分析結果に基づく設備の劣化状況・設備の重要性に基づくリスクスコアの可視化」については,運用開始時に転てつ機・レールを対象とし,一定期間蓄積した鉄道設備データを分析し,現状のコンディションと,設備ごとの重要性とをかけあわせて総合的にリスクスコアを算出する.マトリクス表示により,リスクを5段階で評価することで,優先してメンテナンスすべき対象を可視化する.経験や知見による,これまでの判断に定量的な評価基準を加えることで,より効率的なメンテナンス計画の立案,実施に貢献する.

一部画像は東急(株)提供

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