東京地下鉄(東京メトロ)は,2023(令和5)年度の事業計画を発表した.
2023(令和5)年3月末に工事施行認可申請予定の新線建設(有楽町線 豊洲—住吉間,南北線 品川—白金高輪間)については,十分な公的支援を前提に,2030年代半ばの開業に向けて事業を進める.新形車両については,丸ノ内線で導入を進める.
輸送サービスの改善として,東西線では,列車の遅延防止・混雑緩和のため,飯田橋—九段下間の折返し設備整備や南砂町駅の大規模改良工事などを実施する.銀座線では,列車の遅延防止のため,浅草駅構内の折返し線整備を進める.丸ノ内線・日比谷線・半蔵門線では,高い遅延回復効果を得ることができるCBTC(無線式列車制御)システム導入へ向けた取組みが推進される.このほか,南北線で東京メトロ車両の8両編成の運転を開始する.
駅ホームの安全性向上のために進めているホームドア整備について,日比谷線,東西線,半蔵門線で設置工事を進める.また,身体の不自由な利用者に対する「声かけ・サポート」運動の実施や,ハンズフリー形インカムなどを用いた駅社員間の迅速な情報共有により「見守る目の強化」を行なう.視覚障がい者ナビゲーションシステム「shikAI」の対象駅の拡大に向けた検討や社員向け「お客様ご案内用アプリ」の活用を図る.
バリアフリー設備として,エレベータの設置や多機能トイレの整備を進める.エレベータの設置により1ルート整備率100%実現に向けて取り組むことに加え,病院の最寄り駅などに複数ルートを設けるなど,乗換ルートを整備する.車いす利用者などが円滑に乗降できるよう,日比谷線の各駅でホームと車両床面との段差の低減・隙間の縮小を実施する.
安全性・安定性・利便性の向上として,銀座線・丸ノ内線では輸送の安定性を高めるとともに,環境負荷低減を図るため,標準電圧の750V化へ向けた取組を進める.構造物の日常検査・補修を継続し,千代田線の北千住—町屋間のシールドトンネル補強などの工事を実施する.日比谷線では,列車無線のデジタル空間波無線化工事を進める.このほか駅冷房設備の更新や,一般トイレの整備などを実施に加え,東京都交通局と連携し,東京の地下鉄のサービス一体化を進める.
新たな外出機会の創出として,東京メトログループの保有する各種データを利活用することにより,マーケティング機能を強化するほか,東京の都市内観光「CityTourism」の一環として,沿線施設と「Tokyo Subway Ticket」のセット券発売を充実させる.また,ターゲットにあわせた企画乗車券を発売する.
ポイントを活用したお出かけ機会の創出として,「休日メトロ放題」を開始する.また,利用状況に応じてポイントなどの特典を進呈する「ランク制度」により,ポイントサービスの魅力を向上させ,メトポ会員数や乗車回数の増加を図る.
地域の魅力掘り起しによる新たなお出かけ機会の創出として,SNS,フリーペーパーなどに加え,沿線地域をめぐるスタンプラリーなどを通じて,地域に根差した魅力の発信・共創を行なう.
鉄道各社などとの連携を強化して,相互直通運転先を含めた沿線の魅力発信を行なうほか,各種組織体との連携を強化し,沿線の地域活性化に取り組む.
詳しくは,東京メトロのページに掲載されている.
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