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京阪13000系で車両状態監視システムの試験を実施

京阪13000系で車両状態監視システムの試験を実施

▲監視システムの全体構成イメージ

京阪電気鉄道と東洋電機製造,交通電業社では,将来の状態基準保全(CBM)に向けた車両状態監視システムの試験を,2023(令和5)年2月11日(土祝)から約1年間実施すると発表した.

 状態基準保全(CBM)とは,装置の状態を常時監視し,状態に応じてメンテナンスを行なうことで故障を未然に防ぐ保全方法で,今回の試験は,デジタル技術を活用してメンテナンスを行なうことにより,より安全な車両の提供と効率的なメンテナンス体制の構築を目指す.

京阪13000系で車両状態監視システムの試験を実施

▲車両実装状態

 車両状態監視システムは,交通電業社製の「CBM遠隔装置」を京阪電鉄の13000系7両1編成(13024編成)に試験搭載し,おもに淀屋橋・中之島—出町柳間において,車両の制御装置・モータから取得した電圧・電流・温度などのデータを,随時,自動的にクラウドサーバに転送する.これにより,これまで作業員が現地の車両に赴いて実施していたデータの確認作業が不要となり,作業の省力化が図れるほか,リアルタイムでデータを確認することで装置の異常を早期に発見することが可能となり,安全性の向上にもつながるとしている.

京阪13000系で車両状態監視システムの試験を実施

▲車両実装状態(拡大)

 また,CBM遠隔装置で取得するデータは,現行の地上・車上間通信の通信容量に余裕があるため,既存の列車情報装置やデジタルサイネージ向けWi-Fi環境,LTE通信などを活用したデータ送信が可能であり,車両への導入が容易となっている.
 なお,本システムは今後試験導入を予定している,フルSiC素子適用のVVVFインバータ装置の状態監視や省エネ効果の検証にも活用される予定.
 将来的には制御装置だけではなく,監視対象機器を拡大し,各種装置のデータを取得・解析することで,今後の人口減少による労働力不足に備えた効率的なメンテナンス体制の構築を目指す.あわせて,機器の劣化・寿命や故障予測を行なうことで,車両品質の向上に努め,安全性の向上につなげる.

画像はすべて京阪電気鉄道提供

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