京王電鉄は,2022(令和4)年度に鉄道事業において,総額288億円の設備投資を行なうと発表した.
車両については,座席指定列車「京王ライナー」のサービス拡充を図るため,5000系1本(10両)を導入する.この車両にはリクライニング機能が付いた,ロング/クロスシート転換座席を搭載する.
京王線8000系1編成(10両)については,より省エネ性能の高いVVVFインバータ制御装置へ更新する.また,車両機器情報データを活用し,京王線での省エネ運転の導入を進める.照明の省エネルギー化として,仙川駅・高幡不動駅などのホーム・コンコース照明のLED化工事を実施する.
京王線笹塚—仙川間の連続立体交差事業については,引き続き用地取得や仮線準備工・高架橋の構築などを進めるほか,新たに千歳烏山駅付近で工事に着手し,全8工区のうち7工区で工事を進める.
ホームドアについては,笹塚駅などで整備を進める.笹塚駅では,ホームと車両の隙間対策として,転落防止ゴムも設置する.また,ホーム縁端部の視認性向上を目的として,武蔵野台駅などに注意喚起ラインを施工する.
駅のリニューアルについては,新宿駅新線口改札内のエスカレータの更新工事や,若葉台・府中競馬正門前・多摩境の各駅で,旅客トイレのリニューアル工事を実施する.駅構内に設置されている「お客さま案内ディスプレイ」については,外国語による表示を可能とする多言語対応と異常時の案内機能を向上させた多機能化を進める.
大規模地震に備え,高架橋や盛土区間,トンネル部(新宿—笹塚間)などの耐震補強工事やコンクリート製の電力柱を鋼管柱に更新する工事は,引き続き実施する.
踏切における安全対策では,調布14号踏切道と飛田給9号踏切道において,障害物検知装置を従来の線検知式から面検知式に更新する工事を行なう.
このほか,更新工事を実施する変電所の変圧器を環境に配慮したものへ更新する.また,土木構造物や電気設備の維持管理業務デジタル化に向けて,検査システムの構築や車両機器情報を活用した故障時の復旧時間短縮に向けた取組を進める.
なお,2023(令和5)年度以降についても安全・快適に鉄道を利用してもらうための設備投資を継続して行なうとしているが,一方で鉄道事業は新型コロナウイルス感染症の拡大にともなう鉄道輸送人員の急激な減少による2期連続の営業損失計上や,テレワークなどの定着により輸送需要は以前の水準には戻らないと想定されるなど極めて厳しい事業環境にあるとしている.このような環境下においても公共交通機関の社会的責任を果たし続けていくため,コスト削減などの経営努力を続けるとともに,運賃の改定についても検討を行なうとしている.
特記以外の画像は京王電鉄のニュースリリースから