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特集 新幹線最前線2025
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JR東海,新形の新幹線レール削正車を導入

JR東海,新形の新幹線レール削正車を導入

JR東海は,新幹線の保守用車として使用しているレール削正車について,削正能力に優れ,かつ環境に優しい新形車両を2編成導入すると発表した.

JR東海,新形の新幹線レール削正車を導入

 レールは,列車が繰返し通過すると表面に疲労層が発生し,傷が生まれやすい状態となるため,定期的に疲労層を削り取ることで傷を予防し,寿命を延ばすことができる.レール削正車は,車体下部に高速回転する複数の砥石を搭載した大形の保守用車で,時速5km程度の低速で走行しながら,レール表面を削る.新幹線では,列車が走行しない夜間の時間帯にレール削正車を運転している.
 現行の車両では,砥石の圧力と角度を工程終了ごとに調整する必要があるため,1区間の作業につき4工程(2往復)が必要であった.新形車両では,レールの断面を測定し,その形状に応じて砥石の圧力と角度を自動的に調整する「削正支援システム」を国内で初めて搭載し,砥石の個別調整機能を追加することで,各工程の途中で砥石をきめ細かく自動調整することができ,1区間の作業が3工程(1.5往復)に短縮できるとしている.
 これにより,1日に削正できるレールの距離が伸ばすことができ,これまでより傷の発生を予防できるため,傷に起因するレール交換の頻度が少なくなる.その結果,交換されるレールが年間約15t削減され,10年間で約2億円のコスト削減となる.
 現行の車両では,レール内方用砥石は個別に停止することができないため,作業前に新品に交換する必要があるが,新形車両では,作業中に交換限度に達した砥石を検知し個別に停止できる機能を搭載するため,作業後に必要な砥石のみを交換できるようにする.これにより,砥石の廃棄量が年間約5t削減され,10年間で約7億円のコスト削減を図る.
 このほか,レール削正車に故障が発生した際に,運転台に詳細な故障内容が表示されるように変更する.故障内容を把握して迅速に処置を講じることで,速やかな復旧が可能となり,始発列車の運行に影響が生じるリスクを低減する.
 新形の新幹線レール削正車は,スペノ・インターナショナル社(本社・スイス)製で,浜松レールセンター(静岡県浜松市)に配置し,1編成目は2023(令和5)年1月から,2編成目は同5月からそれぞれ使用を開始する予定.

写真・画像はいずれもJR東海ニュースリリースから

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