大阪市高速電気軌道は,中央線に新形車両400系(6両×23本)と新造車両30000A系(6両×10本)を導入すると発表した.大阪市高速電気軌道の新形車両の導入は,御堂筋線の30000系以来12年ぶりとなる.
400系は,大阪・関西万博を契機に新世代車両として開発を進め,安全性はもとより移動手段としての新機能と高レベルの快適性を追求し,さらに,デザインも「乗って楽しい」をかたちにした.
車両の低床化,優先座席の明確化など,大阪市高速電気軌道が進めるバリアフリー化を図るほか,非常時に乗務員室で確認が可能な車内防犯カメラの設置,すべての乗降口上部へのワイド液晶ディスプレイによる4ヵ国語での運行案内,全車両に空気浄化装置や車内Wi-Fiを設置する.
2024(令和6)年度に計画されている自動運転の実証実験に向け,指令所からの運行指令や情報伝達を行なうデータ伝送機能など各種機能も備える.
外観は,大阪・関西万博に向けて中央線を「活力インフラ」の舞台・夢洲につながる未来への路線と位置づけて,前面形状をガラス張りの展望形状とし,宇宙船を意識させる未来的デザインとする.これにより,乗客からの展望や将来の自動運転の可能性を示唆する外観,そして大阪市高速電気軌道が提供するアプリや大阪シティバス,オンデマンドバスなどのMaaSとの関連性を暗示させる魅力的なものとする.
また,ホーム可動柵時代の乗降口の明確化と,最新室内装備によるコミュニケーションをデザインテーマとし,扉に中央線の号線色のグリーンを主体に,各車両の装備に応じた配色とする.
室内は,天井を落ち着いた配色とするとともに,壁面と床面をより明るくし,機能に応じた多色使いの座席とすることで,モダンで快適な空間とする.1編成につき1両をクロスシート車両とし,目的地に向かって移動するワクワク感や,パーソナルスペースの確保による安心感を提供する.先頭車両にはモバイル用電源(USB)付きのカウンターが設置される.
このほか,空調装置に車内環境に応じた最適な運転を行なう学習・予測制御を導入する.車両の各装置や機器の状態情報(動作情報など)を常時地上設備へ送信するモニタリング機能を設置し,収集した情報を分析,活用することで,効率的な車両保守や安全性の向上を図る.
30000A系は,御堂筋線の30000系車両を中央線用の車両としてさらに改良した.
400系と同じく車両の低床化,優先座席の明確化などのバリアフリー化を進めるとともに,車内の乗降口上部にワイド液晶ディスプレイを設置し,乗換案内や駅設備案内などを4ヵ国語で案内する.全車両に空気浄化装置,車内Wi-Fiの設置や一部の乗降口横のスペースを拡大し,ベビーカーや大きな荷物を持った乗客にも利用しやすくする.
外観は,車体形状は御堂筋線用の30000系と同様とし,中央線のラインカラーをデザインに残しつつ,これまでの車体帯を改め,斬新なデザインとする.
大阪のにぎわいと人々の輝く姿をドットでシンボル化し,今まで以上に人・街・乗り物が有機的につながりあう,これからの新しい未来を,スパークルドットとして表現するとともに,それぞれのドットは,ホワイトを「街ゆく人々」,アースグレイは「街並み」,グリーンは「大阪市高速電気軌道の車両」を意味する.また,ゴールドは未来社会を表現し,そこに存在するすべての要素が多様性をもってランダムに「集まる」・「つながる」ことを表す.
車内のシート色は,背部分をゴールドイエロー,座面をターコイズブルーとし,下方に重心を置くことで,車内全体を明るく軽やかなイメージとする.さらに,スパークルドットを車内にもアレンジすることで,新しい未来を感じさせるワクワク感を演出する.
30000A系は,万博開催期間中の必要な輸送力を確保するため,2022(令和4)年7月から営業運転を開始する予定で,万博後は谷町線に転用される.400系は,2023(令和5)年4月から営業運転を開始する予定で,中央線の20系更新車両と他路線へ転用予定の24系を置き替える.
画像はいずれも大阪市高速電気軌道WEBサイトから
一部内容を訂正しました(2021-12-9 13:10)