三菱商事と近畿車輛は,三菱商事を主契約者とし,エジプト運輸省のトンネル公団であるNational Authority For Tunnels(以下:NAT)から,カイロ地下鉄4号線第一期向け鉄道車両184両を受注し,約400億円で契約を締結したと発表した.
今回の受注は,三菱商事がプロジェクト全体の取りまとめを行ない,近畿車輌は車両供給を担当する.本プロジェクトには国際協力機構(JICA)による円借款が供与され,日本の鉄道技術の活用が期待されている.三菱商事は,2020(令和2)年11月に同路線向けに約900億円で鉄道システムの契約を締結しており,鉄道システムプロジェクト同様に本プロジェクトにおいても本邦技術活用条件(STEP:Special Terms for Economic Partnership)が適用される円借款事業となる.本プロジェクトで供給する車両は近畿車輌がおもに日本製の機器類を採用して製造するもので,2025(令和7)年から2028(令和10)年にかけて順次納入を予定している.
エジプトの首都カイロでは,都市化の進展による急激な人口増加や自動車台数の増加にともない,公共交通機関の整備が急務となっており,カイロ地下鉄4号線第一期は,カイロ中心部から大カイロ都市圏の南西部に位置するピラミッドを結ぶ約19kmで16の駅が設置される.
このプロジェクトは大カイロ都市圏の交通渋滞緩和に大きく貢献することが期待され,路線がカイロ中心部とピラミッドや現在建設中の大エジプト博物館を結ぶことから,観光大国エジプトにおいて観光路線としても大きく注目されている.なお,三菱商事と近畿車輌は,エジプトにおいて過去50年以上にわたり約1600両の鉄道車両の納入実績がある.
画像はいずれも三菱商事WEBサイトから