東急電鉄では,2020(令和2)年度の鉄軌道事業において,総額250億円の設備投資を行なうと発表した.
田園都市線では,新形車両2020系を引き続き導入し,8500系の置換えを進める.2020系は,動作状態や機器状態を常に監視できる大容量情報管理装置を採用しており,設備不具合などを無線通信により把握できるほか,ビッグデータのリアルタイム蓄積を活用することで,メンテナンス性の向上や各機器の故障防止を図る.
東急新横浜線事業については,2022(令和4)年度下期の開業を目指し,日吉—羽沢横浜国大間に約10kmの連絡線(相鉄・東急直通線)を新設する計画を進める.なお日吉—新横浜(仮称)間は「東急新横浜線」,新横浜(仮称)—西谷間は「相鉄新横浜線」となる.これにより,神奈川県中央部や横浜市西部と東京都心部が直結し,首都圏の広域的な鉄道ネットワークを形成するとともに,東急線から東海道新幹線新横浜駅へのアクセスが向上する.
目黒線では,8両編成化による輸送力増強に向け,車庫の整備や追加される2両分のホームドアを整備する.
池上線では,池上駅の橋上化が2020(令和2)年7月に完了した.改札口を2階に変更し,出入口が北側1ヵ所に加え,南側に新設された.これにより,構内踏切が廃止されている.
踏切道の安全対策では,従来の障害物検知装置より検知範囲が広い3D式障害物検知装置の設置を,2020(令和2)年度は12ヵ所に行なう予定.自然災害対策では,大雨時に土砂が線路内に流入するのを防ぐための線路脇斜面の補強工事や,大雨時に屋外に設置している換気口から地下施設への浸水防止を目的に,換気口のかさ上げを行なう.
また車内防犯カメラの設置については,ソフトバンク株式会社の4Gデータ通信に対応したLED蛍光灯一体形の防犯カメラ「Io Tube(アイ・オー・チューブ)」の導入を進めてきたが,2020(令和2)年7月に,東急電鉄が保有する全車両1247両(こどもの国線を除く)へ導入が完了した.
一方で,2020(令和2)年度上期の輸送人員・運賃収入は,新型コロナウイルス感染症流行の影響を受けたテレワークの一層の普及による通勤需要の減少などを要因として,前年比で約4割減少しており,この「新しい生活様式」がコロナ禍収束後も定着することが予想されるため,社会の変化や新しいニーズに対応した事業構造変革を進める.
保守点検のための夜間作業時間や夜間作業に関わる要員の確保を目的に,2021(令和3)年3月のダイヤ改正で,こどもの国線を除く全線で15分〜30分程度の終電時刻を繰り上げる.また,利用動向の大きな変化にあわせて,運転ダイヤの適正化などを検討・実施する.さらに目黒線などで導入しているワンマン運転の拡大に向けた検討を進める.
このほか,上記の東急新横浜線をはじめとした「ネットワークの拡大」に,重要な成長戦略として引き続き取り組む.また,有料座席指定サービスなど新しい生活様式にあったサービスの拡充や,これまでの利用形態・輸送人員にもとづく現在の運賃や乗車券など,商品設計全般の見直しを検討する.
一部画像は,東急電鉄のニュースリリースから