JR東日本では,2021(令和3)年春から,おもに東京100km圏の各路線において終電時刻の繰り上げなどを実施すると発表した.
新型コロナウイルス感染症の影響で利用客の行動様式の変化により,とくに深夜時間帯の利用が大きく減少しており,感染症の収束後も,テレワークやEコマースなどはさらに広く社会に浸透していくことが想定されるため,鉄道事業者として安全かつ利便性の高い鉄道サービスを今後も維持・提供していくためには,利用の状況の変化に対して柔軟な対応が求められる状況となっている.
一方で設備の老朽化と新規設備の増加により工事量は過去10年で約1割増加し,ホームドアやバリアフリー設備をはじめとした安全やサービス向上を目的とした工事も増加傾向が続く見込みであることから,今後さらなる作業の近代化・機械化を推進するためにも,機械搬出入などの準備時間(約60分)を考慮すると,240分以上の列車間合いが必要と判断した.これにより,作業の機械化などで労力軽減と工期が短縮され,作業員の「働き方改革」を支援するとともに,ホームドアやバリアフリー設備などの駅改良の施工能率の向上を図る.また,ホーム上に必要となる作業スペース(仮囲い)設置期間を短縮するなど,作業効率の改善などで,コスト構造の見直しを図る.
終電の繰上げは,直近の利用状況を踏まえつつ,終電から初電までの間隔(列車間合い)を240分程度確保することを念頭に,各方面への終電時刻を現行より30分程度繰り上げて,終着駅の到着時刻をおおむね1時ごろとする.また,一部線区では,初電時刻を繰り下げる.
終電の繰上げなどにあたっては,混雑により,密閉・密集・密接の「3密」とならないよう十分配慮するものとし,金曜日などは,必要により終電前に臨時列車の増発も行なう.また,朝の通勤時間帯を含め,ほかの時間帯についても利用状況を踏まえたダイヤの見直しを実施し,今後は線区ごとの具体的なダイヤ設定について調整を進める.なお,実施線区や内容については,2020(令和2)年10月に発表する.
特記以外の画像はJR東日本のニュースリリースから