JR東日本水戸支社は,より安全・快適・効率的な将来のメンテナンス業務を目的として,新形保守用車「MMU(Mobile Maintenance Unit)」を日本で初めて導入し,管内で運用しながら各種試験・試行を実施すると発表した.
「MMU」は移動作業車と材料運搬車の2両1編成で構成され,移動作業車は,天候に関わらず車両内の空間で保守作業が実施できるもの.車両内部の床面がないため車両内で線路に直接立ち入ることができるほか,車両中央部分を拡幅することで作業空間を広げることができる.また車内に設置されているクレーンにより,連結相手の材料運搬車との間で,資材や工具の運搬も可能となっている.
材料運搬車は,保守作業に必要な資材や工具を運搬する車両で,パワーリフタやホイストクレーンを装備するため,重量物の扱いが可能.なお車内へ搭載できる資材は,最大1.5t,最長10mまでとなっている.また,屋根上には架線設備点検台があり,架線周辺の作業も可能である.
今後は,2020(令和2)年度下期以降に,常磐線富岡—原ノ町間の本線上において,「MMU」に搭載された機構や機能などを活用したさまざまな試験・試行を実施し,設備メンテナンス業務の変革の可能性について検証する.試験・試行の実施にあたっては,支社内の現場第一線の社員などを中心としたプロジェクトを発足させ,幅広い視点で検証を進める.その後,試験の実施状況を踏まえつつ,ほかのエリアでの実施を検討するとしている.
さらに,2021(令和3)年度には,鉄道設備の状態に関するデータを収集する各種測定機器を搭載した検査駆動車(1両)を試験導入する予定で,「MMU」と連結しインテグレート保守用車(Next Generation Maintenance machine/愛称:GMAC「ジーマック」)として運用することで,さらなる検証を行なう.
写真はすべてJR東日本水戸支社のニュースリリースから