近畿日本鉄道では,2020(令和2)年4月19日(日)から,大和西大寺駅中央改札口の供用を開始すると発表した.
これは,大和西大寺駅の南北自由通路の一部供用開始にあわせて,新たな増床エリアを開放するもので,4月18日(土)の最終列車後に北改札口を閉鎖し,翌19日(日)の始発列車から,南北自由通路に接続した中央改札口の供用を開始する.これにともない,駅利用者の通行ルートも変更となる.なお,南改札口については,引き続き利用できる.
また,先端技術を活用した新しい駅運営のあり方「近未来ステーション構想」の取組の一環として,大形マルチディスプレイを利用した案内装置の設置や,AIを活用した案内ロボット,車椅子利用者の見守りシステムなどを試験導入する.大形マルチディスプレイは,駅利用者に対する案内機能を強化する目的で,中央改札口内に55インチの大形マルチディスプレイ9台が設置される.電車の発車時刻や,のりば案内・沿線案内などを提供する.また,事故や災害によるダイヤの乱れが発生した場合には,運行情報なども提供する.
駅案内ロボットは,多様化する利用客のニーズへの対応や,増加するインバウンドに対する多言語での案内など,駅での案内サービスを充実させるため,AIを活用した案内ロボットを中央改札口カウンターとコンコース内に設置する.乗換案内や駅構内・駅周辺の案内,よくある問合わせへの回答などを4ヵ国語(日・英・中・韓)で行ない,問合せに対して適切な回答(案内)ができているかを確認しつつ案内ロボットを育てていく.
改札口見守りシステムは,視覚障がい者や車椅子利用者が中央改札口・南改札口から入場した場合に,改札口上に設置したカメラをとおしてAIが自動的に認識し,駅務室内の専用パソコンを経由して駅係員と連携するシステムとなる.駅係員がほかの業務中でも利用者の来駅に気づきやすくすることで,より安心・安全に利用できる駅を目指すとしている.このほか,生体認証機能の活用に向け,中央改札口と南改札口の自動改札機(各1台)に指紋認証装置を取り付ける.これは駅構内店舗の従業員を対象として使用し,生体認証に関する課題の抽出とさまざまな生体認証機能の活用に向けた検討を実施する.
今後の駅リニューアル工事については,2021(令和3)年度の完成を目指し,引き続き行なわれる.駅の内外装デザインについては,歴史ある西大寺の街並みにふさわしい玄関口や,上記の先進的なサービスを試みる駅として「和の伝統と現代技術の融合」をイメージコンセプトに,外装は光沢のあるダークグレーを採用し,ランダムな表面加工を施して陰影をつけることで先進性を表現しつつ,格子をモチーフとした木目調フィンルーバーをアクセントとする.
また内装は,木目調と石調をベースに,シンプルなデザインを採用する.また,2021(令和3)年12月ごろの使用開始を目標に,既存駅舎の北側と構内地下道にあるトイレを移転・統合し,段差のない広々とした空間づくりやパウダーコーナーを設置したトイレを整備する.
画像はすべて近畿日本鉄道提供