富山市では,2020(令和2)年3月21日(土)に北陸新幹線と,あいの風とやま鉄道線の高架化にともない,富山地方鉄道の岩瀬浜方面へ向かう北側の路面電車と五福や南富山方面へ向かう南側の路面電車が富山駅で接続し,南北直通運転を開始すると発表した.
この路面電車南北接続事業は,富山駅を軸として新幹線と路面電車のコラボレーションという,高速鉄道とLRT(Light Rail Transit)の接続を実現するものであるとともに,公共交通を軸としたコンパクトなまちづくりのシンボルとなる.なお,今回の南北接続事業区間のうち,これまで富山駅から北側の区間(岩瀬浜方面)を運営していた富山ライトレールについては,南北接続を前にした2月22日(土)に富山地方鉄道へ吸収合併された.
南北直通運転開始にあわせて,富山駅高架下の路面電車走行空間においては,富山市の玄関口にふさわしい空間となるよう,「ガラスの街とやま」ならではの大小さまざまな工芸ガラスを組み合わせた「トランジット・ライティング・ウォール」(新幹線側:高さ7m×幅35m,在来線側:高さ5.1m×幅28m)を設置した.このデザインは,「山と海の文化 その融合」をコンセプトに,新幹線側は立山連峰をテーマとした緑色を基調とするガラス,在来線側は富山湾の海をテーマに青色を基調とするガラスが使用され,富山の大自然を表現している.
今回の路面電車南北接続事業は,富山市が進める「コンパクトなまちづくり」のひとつの到達点であり,1908(明治41)年以来,富山駅をはさんで南北に分断されていた市街地が一体化する「市民100年の夢」が実現する.これにより,路面電車の利便性が向上し,富山駅の交通結節機能が強化されて人の流れに大きな変化をもたらすだけでなく,高齢者の外出機会の増加をはじめ,中心市街地の,にぎわい創出や商業活動の活性化など多様な効果も期待でき,市民が健康で生き生きと暮らす魅力ある活力都市の創造につながると考えられている.
写真・画像はすべて富山市提供