JR西日本では,大阪環状線の323系(8両)を使用して,自動列車運転の走行試験を実施したと発表した.
これは,JR西日本がおおむね20年後の姿を示した技術ビジョンにおいて「無線式ATCなど保安システムの進化と自動運転技術による安全性と輸送品質の向上」を掲げており,将来の自動運転の実現に向け,機能の評価ならびに今後に向けた課題抽出を行なうもの.あわせて,自動列車運転の実現する最初の線区を,大阪環状線・桜島線で検討しており,ステップとして,まずは運転士ではない添乗員が乗車する自動運転(oA2.5)を目指す.
自動運転に必要なおもな技術は,保安装置としての無線式ATCと,自動列車運転装置(ATO)で,このうち,無線式ATCは2023(令和5)年春に,和歌山線での実用化に向けて計画を進めている.自動運転技術は,自動で駅間の加速・減速を行なう技術や定点に停車させる技術が必要であり,この開発の一環として走行試験を行ない,走行性能の検証に取り組む.
試験はこれまでに2020(令和2)年2月5日(水)・7日(金)・17日(月)・19日(水)の4日間,各日終電後から始発前までに運転士が乗務した状態で,大阪環状線外回りの大阪—京橋間で実施.途中,天満・桜ノ宮・京橋の3駅に停車し,車両の制御機能(加速・惰行・減速)や定位置停止機能,乗り心地などを確認した.
JR西日本における自動列車運転の特徴は,駅を出発した後に条件に応じた走行計画に沿って運転する「加減速制御の機能」と,駅の所定の停止位置に止めるための「定位置停止制御の機能」を組み合わせるもの.なお,上記2つの機能の切り替えは,線路内に設置しているATS地上子の一部を活用することにより行なう.また,これらの機能は,既存の制御装置に機能を追加することによって実現することを目指しており,機能を搭載する際の改造工事量を最小にすることも目標のひとつとしている.
今後は,今回の試験で得られた結果を踏まえ,必要な開発を進める.
写真は特記以外JR西日本のニュースリリースから