東急電鉄では,2019(令和元)年度の鉄軌道事業において,総額619億円の設備投資を行なうと発表した.
田園都市線では,新形車両2020系を新たに6編成導入し,8500系の置き換えを進める.2020系は,動作状態や機器状態を常に監視できる大容量情報管理装置を採用しており,設備不具合などを無線通信により把握できるほか,ビッグデータのリアルタイム蓄積を活用することで,メンテナンス性の向上や各機器の故障防止を図る.
目黒線では,新形車両3020系を3編成導入するほか,2022(令和4)年度下期の相模鉄道との相互直通運転開始にあわせて,同年度上期から車両編成を6両から8両に順次変更する.東横線では,ラッシュ時の遅延回復に効果のあるデジタルATCの整備を2022(令和4)年の供用開始に向け進める.
田園都市線では,2018(平成30)年度に引き続き,設備故障に起因する遅延を防止するため,同線の地下区間を中心に設備の健全性向上を進める.2019(令和元)年度は,き電線絶縁化対策や電車線更新といった設備更新を進めるほか,電車線調整器については同線地下区間での更新が完了する予定.また,2018(平成30)年度に東横線で導入された,線路状態のモニタリングシステムについては,田園都市線をはじめとした他路線への展開と,AI(人工知能)やIoTなどの先端技術も含めた監視・分析データ活用方法を検討する.
渋谷駅では,駅周辺の開発にあわせて11月に地下出入口番号を変更するとともに,案内誘導サインを改善する.南町田駅は,2019(令和元)年秋の「南町田グランベリーパーク」まちびらきにあわせて駅舎をリニューアルし,駅名を「南町田グランベリーパーク」駅に改称するほか,平日も急行列車の停車駅とする.三軒茶屋駅では,6月に改札階と地上を結ぶエレベータ(2基目)の運用開始を予定し,横浜駅ではトイレの洋式化と,より使いやすい多機能トイレの整備を行なう.
ホームドア整備は,東横線・田園都市線・大井町線全64駅で進められているが,2019(令和元)年度は19駅に設置することで整備完了となる.これにより,世田谷線・こどもの国線を除く東急線全駅に,ホームドアもしくはセンサ付き固定式ホーム柵が設置される.
2015(平成27)年度から進めている保有車両への車内防犯カメラの設置については,2020(令和2)年の東京オリンピック・パラリンピック開催までに全編成での設置を目指す.また,訪日外国人対応として,駅や車内の多言語放送装置を導入する.踏切道の安全対策では,従来の障害物検知装置より検知範囲が広い3D式障害物検知装置の設置を,2019年度は18ヵ所に行なう予定.
このほか,東急線アプリなど,情報配信ツールを活用した分散乗車やオフピーク通勤の推進といった各種施策を通じて,朝ラッシュ時をはじめとする東急線の混雑緩和を図る.