JR東海,2020年7月から「N700S」量産車の営業運転を開始

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2019年1月25日掲載
JR東海 N700S確認試験車

JR東海では,東海道新幹線の次期新形車両「N700S」について,これまでの「N700S」確認試験車による走行試験結果を踏まえ,2020年度からN700系の置換え用として投入する量産車の仕様と投入計画を決定したと発表した.

写真:JR東海N700S確認試験車  編集部撮影  浜松工場にて  2018-3-10(取材協力:JR東海)

※写真はイメージです.

 量産車の営業運転開始時期は,2020年7月を予定しており,同年度に12編成,2021年度と2022年度に各14編成の合計40編成を導入する.
 おもな仕様として,ATCとブレーキシステムを改良することで,地震時のブレーキ距離を「N700A」タイプから5%短縮する.着雪防止対策の強化台車カバーの形状変更や融雪ヒーターなどの着雪防止対策を採用し,列車遅延を低減させる.
 また,車両状態の監視機能を強化し,大容量のデータ通信により詳細な機器データを車両データ分析センターに集約する.これらのデータを用いて,より高精度に各機器のモニタリングを実施し,故障の予兆の段階で調査修繕を行なうことで,未然の故障防止や,将来の検修作業の省力化にも活用する.
 異常時対策では,バッテリ自走システムを高速鉄道で初めて搭載し,自然災害などによる長時間停電時においても乗客の避難が容易な場所まで自力走行を可能とする.また,「N700A」タイプの防犯カメラ設置個所に加え,客室の天井にもカメラを設置し,車内におけるセキュリティを強化する.さらに,緊急時に乗客と乗務員が使用できる通話装置について,指令所の係員とも通話ができるように改良する.あわせて通話装置の増設と,設置場所を客室内とすることで,異常時の即応体制を強化する.このほか,自然災害などで長時間停電した場合でも一部トイレを使用可能にする.
 乗り心地や快適性の向上としては,より制振性能の高い「フルアクティブ制振制御装置」をグリーン車,先頭車およびパンタグラフ搭載号車に搭載する.また,モバイル用コンセントを全座席に設置する.
 ランニングコストについては,走行抵抗を低減した先頭形状(デュアルスプリームウィング形)や次世代半導体「SiC素子」の駆動システムの採用により,消費電力を「N700A」タイプから6%の削減となる.また,パンタグラフやブレーキ装置の摩耗部品を長寿命化し,交換周期を約2倍に延伸することで,検修作業の省力化を実現する.
 なお,工事費は約2400億円(車両製作費用・補修部品の費用など)となる.また,これとは別に,「N700S」の一部の編成には,次期軌道状態監視システムが搭載されるほか,既存の「N700A」タイプに「N700S」の一部機能を追加する改造工事を実施する.