JR東日本は,線路の状態を遠隔監視できる線路設備モニタリング装置を,本格導入すると発表した.在来線営業列車に測定装置を搭載して,線路状態を遠隔で監視する技術の実用化は国内で初めての事例となる.
線路設備モニタリング装置は,軌道変位モニタリング装置と軌道材料モニタリング装置で構成され,営業列車の床下に搭載される.軌道変位モニタリング装置は,レールにレーザを照射して線路のゆがみを測定し,測定したデータは無線によって保線技術センターに伝送する.
軌道材料モニタリング装置は,距離を測定できるカメラ(プロファイルカメラ)と濃淡が分かるカメラ(ラインセンサカメラ)でレールとマクラギを固定する金具(レール締結装置)の状態やレールとレールをつなぐボルト(継目板ボルト)の状態などを撮影する仕組み.
線路の状態を緻密に把握できるため,タイムリーに補修作業ができ,乗り心地向上や効果的なメンテナンスが期待できる.多いところでは毎週行なっていた徒歩による線路点検作業を効率化できるうえ,社員の安全性向上に加え,線路点検の品質向上も期待されている.
線路設備モニタリング装置の開発は,2012(平成24)年1月に試作した営業車搭載用検測装置を「MUE-Train」に設置し試験を実施したあと,2013(平成28)年5月から京浜東北線で運用されるサハE233-1209を使用して営業列車における機器の耐久性,検測データの精度の確認などが進められていた.山手線で運用されているE235系には,一部編成に新製時から装置が搭載されているほか,首都圏で運用される車両を中心に既存車両への取付けも進められている.今後は,2020年度末までに50線区に導入しJR東日本の線路延長の約70%をカバーする予定.
写真はいずれもJR東日本のニュースリリースから