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津軽森林鉄道・遠山森林鉄道の遺構群などが,2017年度の林業遺産に選定される

一般社団法人日本森林学会は,2017年度の林業遺産に「津軽森林鉄道 遺構群および関係資料群」と「遠山森林鉄道の資料および道具群・遺構群」を選定したと発表した.

 津軽森林鉄道は,動力車によるけん引を前提とする日本で最初の森林鉄道で,青森県青森市や五所川原市など,全長は本線だけで67kmにおよび,日本で建設された全森林鉄道の中で最長であった.
 現在,本支線の軌道跡,相ノ股隧道,ヒバ製および鋼製橋りょうなどの遺構が豊富に確認され,ディーゼル機関車や客車,開設当初からの林道台帳および図面や写真類が多数保存されている.また,森林鉄道遺構を巡る「奥津軽トレイル」がNPOによって企画されるなど,地域活性化の対象としても見直されており,遺構や車両,資料群に林業遺産の価値が十分にあるとして選定された.

 遠山森林鉄道は,長野県飯田市南信濃・上村地区で運行していた森林鉄道で,本州で最も遅くまで運行していた森林鉄道のひとつである.
 帝室林野局時代の書式に従って描かれた巻物仕立ての「遠山軌道平面図」など,営林署関係者の手元に保存されていたものを地元有志により改めて収集・保管され,文字資料の一部や,写真,工具・電話機・標識類などは資料館で展示・公開されている.また機関車2両についても,静態保存や動態保存も行なわれている.線路跡は,起点から約10kmがほぼ当時の線形のまま残され,「沈下橋」である「大野の橋」や,随所に見られる石積み擁壁が建設当時の土木技術を今に伝えている.
 森林鉄道の総合的な遺産であるのみならず,状態も良好な点や.保存活動が住民主導で行なわれている点も高く評価し,林業遺産として選定された.

 林業遺産は,日本森林学会100周年を機に,日本各地の林業発展の歴史を,将来にわたって記憶・記録していくための試みとして,2013(平成25)年度から開始された.各年度ごとに,林業発展の歴史を示す景観,施設,跡地など,土地に結びついたものを中心に,体系的な技術,特徴的な道具類,古文書などの資料群を,林業遺産として認定している.

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