NTTドコモと東武鉄道は,2018(平成30)年2月から携帯電話ネットワークを利用する,セルラードローンを活用した鉄道インフラの予防点検の実証実験を開始した.
NTTドコモはこれまで,ドコモ・ドローンプロジェクトの一環として,災害発生時の被災状況の確認や基地局,および鉄塔・橋りょうなどの生活インフラの点検を想定した,セルラードローンの活用ソリューション開発に取り組んできた.また,パートナーとともに新たな価値を協創する「+d」の取組みを推進しており,セルラードローンを活用した社会的課題の解決をめざしている.一方,東武鉄道では,463.3キロにわたる長い営業キロにおいて,安全・安心な鉄道運行を維持するにあたり,セルラードローンなどの情報通信技術・ロボット技術を活用した,構造物などの予防点検の精度向上,点検コストの低減などについて検討してきた.
実証実験は,2018(平成30)年2月27日(火)に東武日光線利根川橋りょう,翌28日(水)に東武鬼怒川線の隣接のり面において,インフラ維持管理・更新におけるドローンの活用を検証するために実施した.この実験により,既存の目視点検などに代わる,より安全で効率的な点検手法の確立をめざす.
利根川橋りょうの実証実験では,セルラードローンに搭載したカメラを通じ,通常目視による点検が困難な橋りょう上部や,低水路内の橋脚の点検を実施した.また,取得した点検画像の一部については,NTTグループのAI「corevo®」を構成するドコモの画像認識技術を活用した自動解析を行ない,実用性を検証する.
鬼怒川線隣接のり面の実証実験では,同じくセルラードローンに搭載したカメラを通じ,点群データを活用したのり面の詳細な実情把握を実施した.ドローンの飛行情報をLTEモバイルネットワーク経由で取得しながらモニタリングを行なうことで,今回の実証実験場所のように広範囲かつ複雑な構造物の周辺であっても,安全なドローンの飛行が確認でき,今後の実用化に寄与するとしている.なお,ドローンでの計測および3次元データ解析については,ルーチェサーチ株式会社の協力を得て行なわれている.
今後は,本実証実験結果をもとに,さまざまな観点から評価を行ない,2018年度も引き続き実証実験を重ね,セルラードローンを用いた点検業務の商用化および自動飛行の実現やさらなる解析精度向上をめざし,「ドローンプラットフォームdocomo sky™」への機能搭載も検討する.
写真:東武鉄道のニュースリリースから