鉄道ファン2026年11月号(通巻787号)
『鉄道ファン』2026年11月号
2026年9月18日発売
定価1300円(税込)

JR東海,東海道・山陽新幹線の次期車両「S0系」を2029年7月に投入へ
〜自動運転や地震対策を強化〜

JR東海,東海道・山陽新幹線の次期車両「S0系」を2029年7月に投入へ

▲S0系(新開発「ツイン リーメクス形」)

JR東海は,「N700S」以来のフルモデルチェンジとなる東海道・山陽新幹線の次期新幹線車両「S0系」の製作を決定したと発表した.営業運転の開始は2029(令和11)年7月を予定している.

 形式名は,現行のN700系シリーズを超える革新的な車両として,新たな進化の基点を表す「0」にShinkansenおよびSupremeの「S」を冠して「S0系」と命名された.「N700S」と同様に,さまざまな両数の編成構成を容易に実現できる「標準車両」として展開する.

JR東海,東海道・山陽新幹線の次期車両「S0系」を2029年7月に投入へ

▲自動運転システム(GOA2)の搭載による安定した輸送サービスの提供

 運転士が乗務する自動運転システム(GOA2)が新たに搭載される.ミリ波列車無線から受信したダイヤ情報などにもとづき,効率的な加速や惰行を活用した省エネ運転の計画速度が設定され,ボタン押下による出発後,定時到着・定位置停止を自動で行なう.走行中に急きょ徐行などが発生した場合も,最新の情報をもとに計画速度が即座に自動更新され,回復運転を行なうことで遅れを最小化する.
 安全性においては,ミリ波列車無線による早期地震検知システムの導入により,地震検知からブレーキ開始までの時間が現行の2秒程度から約0.2秒へと10分の1程度に短縮される.さらにブレーキ制御の改良とあわせて,地震時のブレーキ距離が「N700S」と比較して約5%短縮される.

JR東海,東海道・山陽新幹線の次期車両「S0系」を2029年7月に投入へ

▲車内設備の充実による利便性・快適性の向上

 車内設備については,グリーン車では多様なニーズに応えるため8・9号車に「多機能アームレスト座席」,10号車に「パーティション座席」の2タイプの座席を展開する.
 9号車デッキ部へのパウダーコーナーの新設や,足元スペースの拡大,フルアクティブダンパの制振制御改良による揺れの約10%低減(普通車7号車含む)も実施される.

JR東海,東海道・山陽新幹線の次期車両「S0系」を2029年7月に投入へ

▲車内設備の充実による利便性・快適性の向上

 大きな荷物を持つ利用者が増加していることから,デッキ部の荷物置場を6箇所から9箇所に増設し,客室内の荷棚スペースも拡大する.女性専用トイレのスペース拡大とベビーベッドの新設,男性専用トイレの引き戸化や洗面所の間口拡大など,水回り設備も刷新される.
 通信環境面では,グリーン車を中心に無料Wi-Fiサービスが拡充され,5G対応透明ガラスアンテナの搭載により通信の安定性が改善される.

JR東海,東海道・山陽新幹線の次期車両「S0系」を2029年7月に投入へ

▲新たな先頭形状の採用

 環境性能の面では,鳥の「風切羽(リーメクス)」の形態にヒントを得た新開発の先頭形状「ツインリーメクス形」を採用し,空気抵抗を低減する.編成全体の消費電力量については,自動運転や効率的な機器搭載との相乗効果により,「N700S」と比較して約6%削減する.

JR東海,東海道・山陽新幹線の次期車両「S0系」を2029年7月に投入へ

▲アルミ水平リサイクルの拡大

 新幹線車両の構体における再生アルミ部材の使用割合が約20%へと高められ,車体素材のほぼすべてがリサイクル可能なアルミ材に統一されて水平リサイクルが進められる.
 S0系は,2028(令和10)年8月に確認試験車が1編成投入されたあと,2029(令和11)年上期から2032(令和14)年度にかけて計25編成が順次投入される予定.S0系の新機能の一部は,2027(令和9)年12月以降に新製されるN700Sへの先行実施や,既存の「N700A」・「N700S」への改造工事を通じて順次導入される計画となっている.
 詳しくは,JR東海ニュースリリースに掲載されている.

画像はすべてJR東海ニュースリリースから

このページを
シェアする