鉄道ファン2026年6月号(通巻782号)
『鉄道ファン』2026年6月号
2026年4月21日発売
定価1300円(税込)

JR東日本,AI搭載の線路点検ロボットを実用化へ

JR東日本,AI搭載の線路点検ロボットを実用化へ

▲ロボット×AIで目指すインフラ維持管理の将来像のイメージ
※写真は開発中のものであり,実用化時には変更になる場合があります.

JR東日本は,AIとロボティクス技術を駆使した「線路内自律走行型ロボット」による点検業務を進めると発表した.

 これまで,大雨や地震などの災害時における線路点検は,係員が徒歩で現地を巡回し,目視によって路盤の崩壊や土砂流入を確認してきた.しかし,この従来手法には災害発生直後の危険区域に立ち入る際の二次被害のリスクや,近年増加している熊の出没による係員の安全確保といった課題が存在していた.
 今回のロボット導入により,係員は事務所内などの離れた場所にいながら遠隔で点検が可能となり,人が危険区域に入る必要を減らすことで働く環境の改革が期待されている.

JR東日本,AI搭載の線路点検ロボットを実用化へ

▲プロトタイプ機体の外観(左)と基本仕様

 開発中のロボットは,深層学習に強みを持つ株式会社Preferred Networksのグループ企業である株式会社Preferred Roboticsと共同で,2024(令和6)年4月から開発を進めてきた.
 本機体はLiDAR(レーザセンサ)やGNSS(衛星測位)を利用して周囲との距離や自らの位置を把握し,線路上を自律走行する.走行中に搭載カメラやセンサから取得した映像やデータは,機体内に保存されると同時に遠隔地の係員へリアルタイムで送信される.AIは線路周辺の支障物検知を補助する役割を担い,最終的な列車の運行可否判断は事務所内にいる係員が行なう「人とAIの協調」体制を敷いている.
 機体は全長0.8m,全幅1.2m,全高1.8m,重量は約100kgで,バッテリー駆動により時速15kmで約3時間の連続稼働が可能となっている.

JR東日本,AI搭載の線路点検ロボットを実用化へ

▲実証実験における支障物の検知状況

 従来の徒歩巡回では,係員の経験にもとづく判断や紙・端末への手入力による記録が中心であったが,ロボット導入後はAIの補助解析による客観的な判断が可能となり,取得データは設備管理にも活用される.
 これまでに,八高線を含む計6線区で2段階にわたる概念実証(PoC)が実施されており,走行・計測機能の検証が進められてきた.

JR東日本,AI搭載の線路点検ロボットを実用化へ

▲今後の予定

 JR東日本は,2026(令和8)年10月末までに実用化に向けた機体製作を完了させ,11月以降に在来線を中心にさまざまな路線で走行試験を開始する予定.
 将来的には,取得した3D点群データの活用やドローンの発着機能の付加による詳細な状況把握など,ロボティクスとAI技術を活用した鉄道インフラ維持管理のさらなる高度化を目指すとしている.

画像はすべてJR東日本提供

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