JR東海は,東海道新幹線のポイント(分岐器)に使用されるトングレールについて,長寿命化を目的とした新形状のものを開発したと発表した.形状の改良のみによってトングレールの取替周期を大幅に延伸する手法は,世界初の試みである.
▲ポイントの特徴・従来のトングレールの問題点
東海道新幹線(東京—新大阪間)には,車両基地を含め約500箇所のポイントが存在する.列車の進路を切り替える際に左右に動いて車輪を誘導するトングレールは,先端が薄く複雑な形状であるため,摩耗やき裂が発生しやすい課題があった.その結果,一般のレールが約15年の寿命を持つのに対し,トングレールは約2年という極めて短い周期での取替えが必要となっており,夜間の作業には多大な労働力と費用を要していた.
JR東海では,2006(平成18)年からの実態調査を経て,2021(令和3)年から本格的なトングレールの開発を行ない,複数の革新的な形状変更を実現した.
▲新しいトングレールの特徴(摩耗対策①)
▲新しいトングレールの特徴(摩耗対策②)
摩耗対策として,トングレールの頭頂面を高くする形状を採用した.これにより,ポイント通過時に左右の車輪に直径差を発生させ,スムーズな走行を可能にすることでレールを削る力(横圧)を低減している.
さらに,車輪が接触する側面の傾きを実際の車輪形状に近づけて接触面積を広げることで横圧を分散させ,摩耗の進行を遅らせる工夫を施している.
▲新しいトングレールの特徴(き裂対策)
き裂対策としては,基本レールと接触する側面に存在していた形状の変化点(折れ点)をなくして直線状に変更した.これにより通過時の力の集中を回避するとともに,厚みを増して強度を高めることで,き裂の発生を根本から抑制している.
2024(令和6)年1月から車両基地で実施されている試験では,従来のレールと比較して摩耗量が50%以下に抑制され,き裂も発生していないという良好な結果が得られた.これにより,取替周期は従来の2倍以上に延伸される見込みである.
2026(令和8)年1月からは本線での試験を開始しており,今後その効果を確認したうえで,2028(令和10)年度以降に車両基地,2029(令和11)年度以降に本線へと本格導入する予定である.将来的には在来線への導入に向けた実証試験も検討する.
画像はすべてJR東海提供












