鉄道ファン2026年3月号(通巻779号)
『鉄道ファン』2026年3月号
2026年1月21日発売
定価1300円(税込)

JR東日本,日本初の「荷物専用新幹線電車」を公開
〜3月23日から盛岡—東京間で定期運行開始〜

JR東日本,日本初の「荷物専用新幹線」を公開

JR東日本は2026(令和8)年2月6日(金),日本初となる「荷物専用新幹線電車」を盛岡新幹線車両センターで報道陣に公開した.

 今回公開された車両は,山形新幹線“つばさ”などで運用されていたE3系1編成(7両)を物流専用に改造したもの.全7両の客室から座席を完全に撤去し,重い荷物の積載に対応するため床面へ鉄板を敷設したうえで,滑り止め加工を施している.

JR東日本,日本初の「荷物専用新幹線」を公開

 荷物はカゴ台車のまま車内へ積み込み,専用のベルトで固定する仕組みを導入する.これにより,最大積載量は17.4トン(約1000箱相当)となり,従来の旅客車両の一部を利用した大口輸送サービスの約5倍という大幅な輸送力向上を実現する.
 運行形態は,旅客用の駅ホームではなく,盛岡と東京の「新幹線車両センター」間を直接結ぶ.盛岡新幹線車両センターを12時前に発車し,16時ごろに東京新幹線車両センターへ到着するダイヤで,営業時は,E5系“やまびこ”と連結して運行するほか,車両基地内ではAGV(無人搬送車)を活用して作業の効率化を図る.

JR東日本,日本初の「荷物専用新幹線」を公開

 車体の外観デザインには,列車荷物輸送サービス「はこビュン」のブランドロゴに加え,輸送対象となる地域の特産品が鮮やかに描かれている.先頭車両にはサケ,カキ,イカ,ウニといった代表的な水産物のイラストが配置され,側面には精密機械部品や医療用品,農産物など,これまでの幅広い輸送実績をビジュアルで表現している.
 本サービスの利用受付は,2026(令和8)年2月9日(月)から開始する予定で,3月23日(月)以降の平日に定期運行する.
 JR東日本は,この専用新幹線の導入を通じて「地方創生」「ドライバー不足解消」「脱炭素」という3つの社会的価値の創造を掲げている.
 「地方創生」の観点では,新幹線ならではの速達性と高い定時性を活かし,産地直送の生鮮食品や地域の特産品を鮮度を保ったまま首都圏へ届けることが可能になる.これにより,「作りたて」や「朝採れ」といった付加価値が市場に加わり,地域ブランドの価値向上と経済活性化を強力に後押しする.

JR東日本,日本初の「荷物専用新幹線」を公開

 「ドライバー不足解消」については,トラック輸送を鉄道へシフトする「モーダルシフト」を加速させる.深刻化する物流業界の労働力不足を補完し,持続可能な輸送インフラとしての役割を担うことで,社会全体の物流機能を維持・強化する狙いがある.また,長距離輸送を新幹線が担うことで,ドライバーの拘束時間短縮や労働環境の改善を図る.
 「脱炭素」の点では,鉄道による輸送が,営業用トラックと比較してCO2排出量を約1/10に抑えられることが試算されている.環境負荷を劇的に低減させる今回の取組は,カーボンニュートラルの実現に向けた鉄道事業者ならではの有力なアプローチとなる.

JR東日本,日本初の「荷物専用新幹線」を公開

 「はこビュン」は,JR東日本グループが2021(令和3)年から本格展開している輸送サービスである.現在,東北・北海道,上越,北陸,山形,秋田の各新幹線や在来線特急を活用し,主要都市間を結ぶ広域物流ネットワークを構築している.
 サービスには,法人向けの基幹サービス「はこビュン」のほか,事前予約不要で駅カウンターに持ち込むだけで当日配送が可能な個人・法人向けの「はこビュン Quick」の2つのラインナップがあり,多様な速達ニーズに対応している.
 このほか,日本郵政グループとの間でも「社会課題の解決に向けた連携強化」に関する協定を締結し,郵便局のネットワークと「はこビュン」を連携させた実証実験を実施している.また国内に留まらず,JALグループとの協業により「鉄道×航空」の複合輸送ソリューション「JAL de はこビュン」を提供し,新幹線の高い定時性と速達性を活かして機器類や地産品を迅速に空港へ運ぶことで,海外市場に対しても高鮮度な地産品の提供や産業の活性化を実現している.

画像はすべてJR東日本提供

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