武田薬品工業と三菱倉庫,JR貨物の3社は,医療用医薬品の輸送において,国内初となる31フィート温度管理機能付きコンテナを導入したと発表した.
近年,物流業界ではトラックドライバーの労働時間規制にともなう輸送力不足や,ネットゼロ社会の実現に向けた環境負荷の低減,さらに自然災害に備えたサプライチェーンの強化が喫緊の課題となっている.
3社は2023(令和5)年から鉄道による医薬品輸送の取組みを開始していたが,さらなる輸送量拡大のためには,従来の12フィートコンテナより大形の31フィートコンテナの導入が効率的であると判断した.
この31フィートコンテナは,内容積が10トントラックとほぼ同等であることから,輸送単位や荷役作業を変更することなくモーダルシフトを実現できる利点を持つ.市場への流通本数が非常に少ないため,安定供給の観点から医薬品輸送への導入は見送られてきた経緯があるが,検証を重ねた結果,医薬品の適正流通(GDP)ガイドラインに準拠した運用が可能であると確認された.
武田薬品は,2040(令和22)年までのバリューチェーン全体でのネットゼロ達成を目指し,2023(令和5)年の東北エリアを皮切りに鉄道への切替えを順次拡大してきた.今回の31フィートコンテナ導入により,2025(令和7)年12月に九州エリア,2026(令和8)年1月に東北エリアでさらに対象を拡大した結果,鉄道切替計画対象エリアの約6割(重量比)において鉄道輸送への移行が完了した.これにより,該当ルートにおける温室効果ガス排出量は現行比で約58%削減される見込みである.
輸送品質の面では,三菱倉庫のデータプラットフォーム「ML Chain」を活用し,温度や位置情報の可視化に加え,外部委託業者の許認可状況や監査記録を荷主が確認できる体制を確立している.鉄道とトラックの二つの幹線輸送手段を確保したことで,不測の事態においても高品質な医薬品を安定的に輸送し続ける弾力性の強化も実現した.
3社は今後,東京から北海道エリアへの幹線輸送においても鉄道への切替えを進めるなど,さらなる環境負荷低減に貢献していくとしている.
写真:2025年12月から武田薬品の医薬品輸送で使用されている31フィート専用鉄道コンテナ(温度管理機能付き)
写真は武田薬品・三菱倉庫・JR貨物 共同ニュースリリースから












