鉄道ファン2026年2月号(通巻778号)
『鉄道ファン』2026年2月号
2025年12月19日発売
特別定価1400円(税込)

箱根登山電車,新形車両「4000形」を2028年度に導入へ

箱根登山電車,新形車両「4000形」を2028年度に導入へ

▲外観イメージ

小田急箱根は,箱根登山電車(箱根湯本—強羅間)において,14年ぶりとなる新形車両「4000形」を2028年度に導入すると発表した.

 4000形は,引退が発表された100形の後継として位置づけられ,車両開発のコンセプトやデザインは同社社員によって検討された.
 開発コンセプトは「心躍る時間(とき)を提供する」で,これは2024(令和6)年4月に発足した同社の経営理念を体現したもの.世界に誇る観光地「箱根」の自然を感じながら,国内外のゲストがゆとりある旅を楽しめる車両を目指す.
 外観デザインには,箱根登山電車として初めてとなる流面形の前面形状を採用する.前面に大形曲面ガラスを用いることで,展望性と柔らかさを兼ね備えた,次の100年を担う洗練されたフォルムを実現している.

箱根登山電車,新形車両「4000形」を2028年度に導入へ

▲先頭車の室内イメージ

 車体カラーリングは,スイスの姉妹鉄道「レーティッシュ鉄道」のイメージである赤を基調とし,メインカラーには同社オリジナルの「バーミリオンはこね」を配する.シルバーのラインカラーが3両編成の一体感を生み出し,箱根を循環(周遊)するイメージと地域との調和を上品に表現している.
 車内は,四季折々の自然を堪能できるよう,3000形「アレグラ号」と同等の大形窓を設置するほか,車窓を楽しめるよう窓側に角度を付けた座席を一部に導入する.内装に箱根伝統の寄木細工のデザインを取り入れることで,車窓と一体的な華やかな空間を演出し,特別な乗車体験を提供する.

箱根登山電車,新形車両「4000形」を2028年度に導入へ

▲中間車の室内イメージ

 車内の「ゆとり」を醸成する設計として,先頭車は前方景観を楽しめる展望車,中間車は大形ロングシートを備えた交流空間とする.ボックスシートは片側座席を1列として座席幅と通路幅を拡大するほか,小田急箱根では初となる大形手荷物用のラゲッジスペースを導入し,多様なニーズに対応する.バリアフリー面でも,両先頭車に車いすなどで利用可能なスペースを確保している.
 環境負荷低減の取組みとして,全ステンレス製車体の採用や,省エネルギー化したVVVF制御装置,回生ブレーキの導入によりエネルギー効率の向上を図る.これにより,従来の100形と比較して電力消費を約45%削減する.

画像はすべて小田急箱根提供

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