川崎重工業グループの川崎車両は,地域の鉄道公共交通の維持と非電化鉄道の地球環境課題解決を目的とした新形の電気式気動車「GreenDEC®(グリーンデック)」を開発したと発表した.
現在,日本国内の非電化路線は鉄道路線全体の約30%(国交省鉄道局監修「鉄道要覧」データなどから算出)を占めており,主流であるディーゼル機関と液体変速機を組み合わせた車両は老朽化が進んでいる.さらに液体変速機などの部品入手が困難になっていることが地域の鉄道維持における課題となっており,環境負荷低減に向けた取組みも求められていた.
「GreenDEC®」は,ディーゼル機関で発電した電気を用いてモータを駆動させる仕組みをベースとしている.最大の特徴は,モータやインバータ,歯車減速機といった主要機器を一般的な電車と共通仕様にした点にある.これにより交換部品の入手性を高め,メンテナンス作業を軽減することで,維持コストの抑制に寄与する.また,鉄道分野のカーボンニュートラル実現を見据え,将来的な水素駆動機関等の採用や交換が可能な構造・レイアウトを採用しており,水素利用までシームレスに対応できるプラットフォームとなっている.
車両デザインは,時代を超えて使い続けられる普遍性をコンセプトとしている.外観はステンレスの地肌を生かしたクリーンな質感に,前面のブラックフェースを組み合わせて引き締まったイメージを追求し,車両ブランドのロゴを配してアイデンティティを形成している.
内装は,白を基調とした壁面と天井により明るい空間を作り出し,設備品をシンプルな構成にすることで,清潔感や見通しの良さを実現している.
本車両の基本仕様は,全長18.00m(20m車両の設定もあり),全幅2.80m,全高4.02mで,ステンレス鋼の車体を採用しており,設計最高速度は95km/hである.
すでに複数の鉄道事業会社から受注を獲得しており,天竜浜名湖鉄道と甘木鉄道では,2026(令和8)年春のダイヤ改正にあわせて営業運転を開始する予定.
画像はすべて川崎重工提供













